中国商務部がカナダの半導体調査会社TechInsightsを不信頼企業に指定し、中国内の個人・組織による情報共有を制限した。外部解析の封鎖は産業の透明性を低下させ、HuaweiのAIチップに見られる海外部品依存や米国の輸出規制の実効性に疑義を投げかける。本稿では指定の経緯と事業・サプライチェーンへの影響を整理する。
中国、TechInsightsを「Entity List;エンティティリスト」に指定
参考記事:China blacklists major chip research firm TechInsights following report on Huawei
半導体産業の透明性に新たな影
中国商務部は、カナダ拠点の半導体調査会社 TechInsights を「不信頼企業リスト(Entity List;エンティティリスト)」に指定し、中国国内の個人・組織が同社と情報を共有することを禁止しました。理由は「国家安全保障上の懸念」とされています。
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TechInsightsとは
TechInsightsは、半導体の分解調査や技術解析で世界的に知られる調査会社です。特に中国製チップの解析に強みを持ち、Huawei(華為技術)の最新半導体に関する報告をいち早く発表してきました。直近では、Huaweiの最新AIチップ「Ascend」に中国本土以外から調達された部品が含まれていることを指摘し、注目を集めました。
背景にある米中摩擦
- Huaweiは2019年以降、米国の輸出規制対象(エンティティリスト)となり、先端半導体の調達が制限されています。
- SamsungやTSMCといった海外メーカーの技術に依存している実態が、複数の調査会社から報告されています。
- 米国は中国企業への先端技術輸出を制限しており、TechInsightsの調査結果はその規制効果に疑問を投げかけるものとなっています。
今回の指定の意味
- 情報の不透明化:外部調査会社の活動が制限されることで、中国半導体産業の実態把握がさらに困難に。
- 自給自足への圧力:中国はSMICなど国内企業と連携し、半導体の国産化を急いでいますが、依然として海外技術への依存が残ることが浮き彫りに。
- 国際的な波紋:TechInsightsの報告は、米国の輸出規制の実効性や、中国の自立化戦略の進展度合いを測る重要な材料となっています。
今後の展望
アナリストの間では、中国企業が規制の抜け穴を活用したり、規制発効前に輸入した部品の在庫を活用しているとの見方もあります。今後5年で中国がAI半導体分野で「ほぼ自給自足」に近づくとの予測もあり、米中の技術摩擦は一層激化する可能性があります。
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