中国大手通信機器メーカーが深圳・東莞に構える巨大拠点を現地視点で解説。松山湖のR&D都市、団泊洼区の製造基地、南方基地まで網羅し、東京23区を超える規模の実態に迫る。さらに、台湾由来の地名が残る背景や主要都市に分散するMEMS・EV関連拠点との関係性も紹介する。加えて、東莞が全体の司令塔として果たす戦略的役割らしい。
中国大手通信機器メーカーの深圳・東莞に広がる巨大拠点を読み解く
なにかと話題に上る中国大手通信機器メーカー。最先端AI、ロジック半導体、パワー半導体、半導体装置、EV、光モジュール、スマートフォン、スマートウォッチ、通信基地局、パソコン、家電──生活のあらゆる領域に事業を広げる巨大企業だ。
2018年には副会長兼CFOがカナダで拘束され、世界中の注目を集めたことも記憶に新しい。
そんな同社の中核拠点が、中国広東省の深圳市と広州市の間に位置する東莞(ドンガン)市である。
松山湖に広がる“都市級”の巨大キャンパス
東莞・松山湖エリアには、同社の研究開発・製造拠点が一体となった巨大基地が広がっている。工場は今も増え続け、まるで新しい都市が形成されているかのようだ。
ヨーロッパ風の街並みが広がる「溪流背坡村」
R&Dの中心となるのが、溪流背坡村(Xī bèi pō cūn)と呼ばれる開発拠点。
メディアでも話題になったが、広大な敷地にヨーロッパの街並みが再現され、敷地内には電車まで走っている。松山湖南側の湖畔に沿って広がるこのエリアは、企業キャンパスというより“研究都市”と呼ぶ方がふさわしい。
参考記事:日経XTECH ウエアラブル製品やEVに活路見いだす、現地中国で見たファーウェイの強み




製造部門は東莞と深圳の3拠点
製造部門は以下の3つに分散している。
- 团泊洼区(tuán pō wā qū)
- 南方基地(nánfāng jīdì)
- 深圳・九華山エリア
このうち団泊洼区はA区〜J区まで広がる比較的新しい製造エリアだ。百度地図の360度ビューでは建屋の外観が確認できないよう制限されており、機密性の高さがうかがえる。
ここでは主に以下の製造が集中しているとされる。
- 端末機器
- 通信基地局
- 光通信モジュール
一方、EV、パワー半導体、MEMS、光学系、ロボットなどは武漢・上海・重慶など中国主要都市に分散している。しかし、全体のコントロールセンターは東莞に置かれているようだ。



東京23区を“丸ごと飲み込む”スケール
この東莞・松山湖一帯の拠点を東京と同じ縮尺で比較すると、その規模の異常さがよくわかる。
東京23区を丸ごと呑み込んでしまうほどの面積。
日本国内でこれほどの広大な工場群を一体的に整備することは、地価・規制・インフラの観点からほぼ不可能に近い。
量産能力という観点では、すでに“量の勝負”で勝てない構造が生まれている。

団泊洼区に残る「台湾の痕跡」
団泊洼区には、阿里山路、台南路、台中路、高雄路、桃園路など、台湾の地名を冠した道路が存在する。これは、この地区の開発に台湾人技術者が深く関わったことに由来するという。
巨大企業の製造拠点の中に、台湾文化の痕跡が息づいている点は興味深い。
===> 次回に続く。

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