2025年は、私にとって新しい経験が次々と押し寄せた一年だった。なかでも、人生初となる中国出張は、強烈な印象を残した大きな出来事である。上海、武漢、杭州、深圳、広州、東莞、そして香港まで、広大な中国を駆け巡った。
キャッシュレス社会の徹底と、その裏側
まず驚いたのは、キャッシュレス決済の浸透度だ。アリペイ(Alipay)とウィチャットペイ(WeChat Pay)があれば、ほぼすべての支払いが完結する。
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しかし、ここに大きな落とし穴がある。
日本のクレジットカードをこれらのアプリに紐づけると、利用分がカード会社に請求される仕組みだが、中国からの請求はセキュリティチェックが非常に厳しい。例えば、中国のホテルで5万円の宿泊費をアリペイで支払おうとしても、決済が弾かれることがある。
そもそも、中国ではVISA、Mastercard、JCB、AMEXといった国際ブランドが使えない。普通にカードが使えれば済む話なのだが、そうはいかない。
そのため、中国渡航前にはカード会社に連絡し、「渡航期間中のセキュリティ調整」を依頼しておく必要がある。さらに帰国後は、アリペイやウィチャットペイに登録したカード情報を毎回解除する。危険だからだ。これを渡航のたびに繰り返すのは、正直かなり面倒である。
タクシーの“創意工夫”
次に驚いたのは、タクシーのぼったくりの多さだ。
DiDi(中国版タクシー配車アプリ)で呼んだ車でさえ、なんとかして余計に取ろうとする努力がすごい。もはや感心するレベルである。
ぼったくりを仕掛けられたら、こちらも黙ってはいられない。「タダでは済まさない」という気持ちで対峙することが重要だ。むしろ最初から「少しだけぼったくらせてください」と言われた方が潔い。その方が「どうぞ〇〇元」と気持ちよく払える。
中国企業の“考えない文化”
中国の企業風土、人の考え方も強烈だった。大企業でも中小企業でも、まず自分たちで考えない。
何か目的を達成したいとき、最初に出てくる言葉は
「一般的な解決方法は?」
「業界標準は?」
である。研究、開発、製造、どの部門でも同じだ。
そのため、品質改善・品質向上・コストダウンといった発想が生まれにくい。
結果として、問題が起きるたびに“次の研究開発のネタ”として外国人が必要になる。私もその対象になっている日本人の一人だ。
日本の大企業では60歳になると給与が3〜5割減るという話も聞く。そんなときに中国から年収2,000〜3,000万円のオファーが来れば、心が揺れるのは当然だ。
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英語を話さない中国人と、非効率な業務
中国出張で最も効率が悪いのは、通訳が必須であることだ。共産党にマークされているわけではない。単純に、中国人は英語で仕事ができない。
そのため、各部署に日中通訳アシスタントが配置され、日本語→中国語、中国語→日本語と逐次翻訳しながら業務を進める。これがとにかく非効率だ。
資料もすべて中国語(簡体字)。英語のレポートは存在しない。
対照的に台湾では、会議の会話が中国語でも、レポートは必ず英語で作成される。
技術開発は進むが、イノベーションはない
半導体、AI、ロボット、自動運転など、中国の技術分野には莫大な予算が投じられている。開発スピードも速い。
しかし、そこにイノベーションがあるかと言えば、答えはNOだ。
コピー、模倣、そして外国人技術者を高給で引き抜き、必要なものを吸い取ったらおしまい。これが現実の構造である。
最大の苦痛:インターネットと食事
中国出張で最も辛かったのは、インターネット環境と食事である。
インターネットの不自由さ
Great Firewallにより、Google、YouTube、Email、LINE、Facebook、Instagram、Threadsなど、中国外へのアクセスはほぼ不可能。ビデオ通話もできない。
対策として海外ローミングSIMを購入するしかない。
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テレビは国営放送のみ。WeChatは使えるが、エンドツーエンド暗号化がなく、情報はすべて中国共産党に筒抜けである。
食事の期待と現実
初めての渡航前、「本場の中華はさぞ美味しいだろう」と期待していたが、その幻想は粉々に砕け散った。
正直に言えば、中華料理は美味しくない。現地では「おいしいですね!」と言うが、心は違う。
四川料理はただ辛いだけでコクがない。辛くてもコクがあれば美味しいのだが、そうではない。
台湾の料理は普通に美味しいので、余計に差が際立つ。
1年を振り返って
こうして振り返ると、2025年は中国出張に振り回された一年だった。来年以降、中国へ行くつもりはもうない。
中国の超大手通信機器メーカーに対する半導体コンサルティングは、驚くべき(もちろん良い意味ではない)事実の連続だった。この会社は、ただメンツだけだ。
ここで見たこと、感じたことを、これから徒然草として綴っていきたい。


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