TSMCの最先端2nm技術が外資に流出し、東京エレクトロンに捜査が及ぶ事態に。ラピダスとの技術連携疑惑も浮上し、台湾国家安全法が初適用される異例の展開。半導体装置メーカーとの関係やTSMCの厳格な情報管理体制、転職事情、事件の背景を徹底解説。台湾企業特有の競業避止義務制度、ブラック労働環境と高待遇の裏側も掘り下げる。
※ 法に触れることは悪いことです。このブログは法を否定することではありません。
あわせて読みたい:TSMC 2nm技術が外資に流出!国家機密漏洩で東京エレクトロンに捜査の手、ラピダスとの関連も浮上し半導体覇権に激震!
TSMCの技術力と情報管理体制
TSMCはAIやスマートフォンなどの分野を支える最先端ロジックICを製造する世界的企業。技術漏洩に対しては極めて厳格な管理体制を敷いており、クリーンルーム内ではスマートフォン、ノートパソコン、タブレットや防塵紙、ボールペンの持ち込みは禁止されています。
装置トラブル対応の実態:非効率と過酷な現場
半導体製造では、圧力・温度・ガス条件・時間・膜厚などの無数の組み合わせから最適なレシピを探す必要があります。TSMCでは品質工学よりもローラー作戦による試行錯誤が主流で、装置トラブルも頻発。
その際の対応は極めて非効率で、担当者がクリーンルーム内から電話で装置ログを一文字ずつ口頭で読み上げるという方法が採用されています。数時間トイレにも行けない連続作業が日常です。
装置メーカー担当者がクリーンルームに入室するときも同様です。装置メーカー担当者がクリーンルームから電話回線を用いて、事務所待機の担当者にログを一字一句読み上げていきます。
技術流出の背景:現場の「やりきれなさ」
今回の事件では、現場担当者がスマートフォンで装置画面を撮影し、外部に情報を伝えた可能性が指摘されています。これは精巧なスパイ行為ではなく、非効率な業務に疲弊した現場の「やりきれなさ」が招いた初歩的ミスとの見方もあります。
1年365日年中無休で非効率な業務を行っていた中での「やりきれなさ」・・・
TSMCの労働環境と転職事情
TSMCの給与は台湾企業の中でも群を抜いて高く、マネージャークラスで年収3000万円以上、部長級で8000万円以上にもなります。台湾の大卒者の平均月給は3.5万元程度だが、TSMCはこの2倍から3倍もらえる。非効率な労働環境のもと年中無休で勤務し、成果が出ると12カ月分のボーナスが支給されることがある。年中無休で残業代も曖昧なブラック企業としても知られており、転職を希望する社員も多いのが実情です。しかし、TSMCほど破格な給与が支給される台湾企業は皆無である。
(ちなみに)台湾半導体関連のブラック企業は、他にP社とH社が有名です。
転職と台湾特有の事情
TSMCから外資系企業への転職は待遇面でも理想的で、東京エレクトロンもその一つ。法としては当然悪いことですが、スマホに画像が残ったままだった。東京エレクトロンでもTSMCに勤務していたということでかなり重宝されたのでしょう。台湾では通報文化が根付いており、嫉妬や正義感から通報が行われることも珍しくありません。今回の事件も、転職後に通報された可能性が指摘されています。
競業避止義務と法的枠組み
台湾では退職後1年間の競業避止義務を求めることができ、法律的にも有効です。TSMCが情報漏洩を懸念していたならば、こうした制度を適用すべきだったとの指摘もあります。その代わり、1年間の給与補償が受けられる。役職ポストにより適用されるかどうか、また補償額は異なる。
一方、台湾半導体製造企業は、他社からの技術導入を行うことで追いつけ追い越せを行ってきた経緯がある。TSMCにしても然りである。技術・人材・情報を他国から集めて開発を有利に進め、時間をお金で買ってきた。こういったことにもセンシティブになる必要が実はあるのではないだろうか。
今後の展望:台湾と日本の協力関係
今回の事件は、台湾国家安全法の初適用という点で注目されましたが、過去の産業スパイ事件とは異なり、日常業務の非効率さが引き金となった「事故」に近いと考えられます。台湾と日本は今後も協力し、世界の半導体産業を支えていくことに変わりはありません。
筆者について:日本の大手電機メーカーの半導体部門を退職後、台湾の先端半導体開発に10年携わった。台湾半導体開発の内情を良く知る。
あわせて読みたい:TSMC 2nm技術が外資に流出!国家機密漏洩で東京エレクトロンに捜査の手、ラピダスとの関連も浮上し半導体覇権に激震!


コメント