TSMC2nm(ナノシート)製品の登場時期を徹底解説。AMD EPYC「Venice」やApple次世代Mシリーズの出荷スケジュール、さらにIntel 18A「Panther Lake」最新動向まで網羅。TSMCは2025年後半に量産開始し2026年に本格展開予定、AMDはZen6世代で採用、AppleはM6以降で導入見込み。Intelは20Aをキャンセルし18Aへ集中、2025年後半からPanther Lakeでナノシートを適用した製品化開始。各社の戦略と技術進化を比較し、半導体業界の未来をわかりやすく解説します。
TSMC 2nm製品はいつ?
半導体業界の次なる大きな転換点は、TSMCの2nm(N2)プロセスの量産開始である。これまでの3nm世代まではFinFET構造が主流だったが、2nmからはゲートオールアラウンド(GAA)ナノシートが採用され、電力効率と性能の両面で大幅な進化が期待されている。では、実際に「TSMC 2nm製品」が世の中に登場するのはいつなのか。
TSMC 2nmの技術的特徴
- 構造:FinFETからGAAナノシートへ移行
- 性能改善:同じ消費電力で最大15%性能向上、同じ性能で最大30%電力削減
- 柔軟性:ナノシート幅を調整できる「NanoFlex」技術により設計自由度が拡大
- 量産スケジュール:2025年後半に量産開始、2026年に改良版N2PやA16へ展開予定
- 製品化状況:まだ市場に出ていない。最初の製品はAMD EPYC「Venice」(2026年予定)
製品採用の例
AMD EPYC「Venice」
- 概要:Zen 6アーキテクチャ採用、第6世代EPYCサーバーCPU
- 製造:TSMC 2nm(N2)プロセス
- 現状:2025年4月にテープアウト完了、2026年に市場投入予定
- 特徴:
- サーバー・データセンター向けHPC CPU
- 前世代「Turin」(Zen 5, 3nm)から電力効率と演算性能を大幅改善
- 最大192コア構成が噂され、AIやクラウドワークロードに最適化
参考資料(Sources)
- AMD 、 TSMC の 2nm プロセスを採用した製品化向けシリコン開発において 初のマイルストーンを達成
- AMD CEO talks OpenAI deal. Plus, how to play quantum stocks.
Apple
- Mシリーズ(M5):2025年10月発売済み(3nm世代)
- M6以降:2nm採用は2026〜2027年頃と予想
- Aシリーズ(A19以降):2025年モデルは3nm世代、2nm採用は2026年以降と見られる
Intelの動き
- GAAナノシートを使用した製品はIntelが初。TSMCは2nmからナノシートを適用するが、製品化はまだである。
- Intel 20A(約2nm):
- 当初は2024〜2025年に量産開始予定だったが、量産には至っていない。
- Arrow Lake向けの20Aはキャンセルされ、製造はTSMCへ委託。Intelは最終パッケージングのみ担当。
- 技術的成果は18Aへ統合され、良率改善に活用されている。
- Intel 18A(約1.8nm):
- 2025〜2026年に登場
- RibbonFET + PowerVia(裏面電源供給)の改良版を採用
- サーバー向け「Granite Rapids」「Sierra Forest」後継世代、クライアント向け「Arrow Lake」後継世代に適用予定
- 初の18A採用製品は「Panther Lake」(Core Ultra 300シリーズ)。2025年後半に発表され、同年中に出荷開始。Cougar Cove P-coresとSkymont/Darkmont E-coresを搭載し、Xe3 GPUを統合する。
- 技術的強調点:
- TSMCより早く裏面電源供給PDNを導入
- 信号配線ではTSMCがDualダマシンで完成度を高めているが、Intelはプロセスロバスト性を考えシングルダマシンを活用
- 単純に「遅れている」とは言えず、ビジネス合理性を重視した戦略を展開
誤解と現実
日本の一部メディアでは「Intelは技術が遅れていて危ない」といった論調が目立つが、これは右習え的な見方に過ぎない。実際にはIntelがGAAナノシートを先に製品化しており、裏面電源供給もTSMCより早く導入している。確かにNvidia GPUがTSMCに集中しているため「Intelは負けている」との評論もあるが、CPU分野では独自のロードマップを着実に進めている。技術の完成度や採用分野が異なるため、単純な勝敗論では語れないのが現実である。
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まとめ
TSMCの2nm製品は2026年が本格的なスタートラインとなり、最初の製品はAMD EPYC「Venice」、その後Appleの次世代iPhoneやMacが続く。一方でIntelは20Aを量産せず18Aに集中し、2025年後半からPanther Lake(Core Ultra 300シリーズ)で製品化を開始した。Intelは既にGAAナノシートを製品化し、裏面電源供給をTSMCより早く導入しているため、単純に「遅れている」とは言えない。両社は異なる戦略で競争力を維持しており、今後の半導体業界はその競争の行方によって大きく左右されるだろう。


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