MLC NAND が供給崖に直面:大手撤退で価格高騰、台湾Macronix が市場を主導─2026年に世界供給40%減の衝撃

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 主要メーカーの撤退により MLC NAND が供給崖へ直面し、2026年には供給が40%減少する見通しです。これに伴い価格高騰と市場再編が進み、産業・車載向けの需要は依然として堅調です。Macronix は不足分を補うサプライヤーとして存在感を拡大し、NOR Flash 市場にも波及する動きが引き続き注目されています。

MLC NAND が高マージン市場へ転生──大手撤退で Macronix が存在感を拡大

 世界の NAND Flash 市場で、MLC NAND が急速に“希少資源化”している。TrendForce の最新調査によれば、主要メーカーが MLC 製品の生産を縮小・終了し、投資を先端プロセスへ集中させていることから、2026 年の世界 MLC 生産能力は前年比 41.7% 減少する見通しだ。市場構造は大きな転換点を迎えている。

MLC NAND capacity
出典:Trendforce “MLC NAND Flash Shifts to a Niche Market as Major Suppliers Exit, Reshaping the Supply Chain

Samsung の EOL が引き金に、供給崖が一気に顕在化

 供給縮小の最大要因は、Samsung が 2025 年 3 月に MLC NAND の EOL を発表し、最終出荷を 2026 年 6 月としたことだ。
これに続き、Kioxia、SK hynix、Micron も既存顧客向けの最低限の生産にとどめており、増産の動きはほぼ見られない。

 代替キャパシティが短期間で立ち上がらない中、2025 年第 1 四半期末からは前倒し需要と早期の数量確保が急増。MLC NAND の価格は急騰し、その後も上昇基調を維持している。

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産業・車載など“高信頼性市場”が MLC を支える

 MLC NAND の需要は、産業用制御、車載電子機器、医療機器、ネットワーク機器など、信頼性と長期供給が重視される分野で安定している。
 ただし、これら市場の成長性は限定的で、TLC の高信頼性化が進んだ場合や、NAND 市場全体が景気後退局面に入った場合、MLC 価格には下押し圧力がかかる可能性もある。

Macronix が供給ギャップを埋める“戦略的勝者”に浮上

 こうした中、台湾の Macronix(マイクロニクス)が存在感を急速に高めている。
同社は組み込み用途や高信頼性メモリに強みを持ち、一部の NOR Flash 生産能力を MLC NAND へ振り向ける戦略を進めている。

 TrendForce は、この動きにより世界の NOR Flash 生産能力が縮小し、供給集中度が高まると分析。過去に過剰供給で価格が下落しやすかった NOR 市場において、中〜高容量品の価格は今後より強いサポートを受ける見通しだ。

MLC は“高マージンのニッチ市場”へ──ただし代替リスクは残る

 大手メーカーの撤退により、MLC NAND は高信頼性分野を中心とした高マージンのニッチ市場へと変貌しつつある。
 一方で、先端 TLC の進化や市場サイクルの変動による代替リスクは残り、長期的な価格安定性には不確実性もある。

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参考資料

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