中国大手通信機器メーカーで実際に働いて見えた、縦割り組織の強さと個人事業主化した働き方、AI依存による“答えだけ”の問題解決文化、開発部と製造部の断絶、人海戦術による品質課題など、現場で体験したリアルな実態を解説します。歩留まり改善が進まない構造的理由や、組織文化が技術力に与える影響を深掘りする徒然草シリーズ第3回。
中国大手通信機器メーカーの仕事っぷり
― 個人事業主化した組織と“答えだけ”を求める文化 ―
だいぶ時間が空いてしまったが、第3回目は、中国大手通信機器メーカーで働いた際に感じた「組織文化」と「仕事の進め方」について記しておきたい。
縦割りが極端に強い組織構造
この会社の組織は完全な縦割りで、台湾以上に職制上のボスの権限が強い。
縦割りが強いということは、同時に縄張り意識も強いということだ。
一般的な企業では、チームでKPIを共有し、協働して成果を出す。
しかしこの会社では、課長以下の社員は“個人事業主”のように扱われ、一人につき一つのテーマが割り当てられる。会社として抱える案件が膨大であることも理由だろうが、結果として「個人戦」が常態化している。
新人でも即実戦、指導者は不在
優秀な大学を卒業した新人が入社してきても、いきなり実戦投入される。
指導者はおらず、材料系や文系出身者が、電子機器の技術開発や製造に配属され、即戦力として結果を求められる。
当然ながら、仕事は独りよがりになりやすい。
課長に認められるために、レポートの量をこなすことが目的化してしまう。
トラブル対応は「本質」ではなく「答え探し」
歩留まり問題や工程改善が必要になった際、通常であれば本質的な原因を特定し、再発防止策を構築する。
しかし、この会社ではアプローチがまったく異なる。
“答えだけ”を探しに行く文化が根付いているのだ。
最近では社内AIに質問し、その回答をそのままレポート化して標準化する。
当然ながら、場当たり的な改善にしかならず、同じ問題が繰り返し発生する。
開発部と製造部は「完全に別世界」
さらに興味深いのは、開発部と製造部の関係性だ。
開発部は製造部を“下請け”のように扱い、設計書を渡した時点で自分たちの仕事は完了したと考える。
本来必要なデザインレビュー機能は存在せず、量産性を考慮した設計になっていないケースも多い。製造部は調達・受入検査・ライン投入までを担うが、設計の不備があっても改善のフィードバックが機能しない。
人海戦術でモノは出るが、品質は…
人が多いので、ある程度のモノづくりはできる。
しかし、歩留まりや品質は安定しない。
構造的な問題が解決されない限り、同じ課題が延々と繰り返される。
次回は、この組織文化がどのように事業運営や技術力に影響しているのか、さらに深掘りしていきたい。次回に続く・・・


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