DDR4高騰とNAND市況、レガシーNAND動向 | 棚から牡丹餅の台湾メモリ3社総まとめ。2025年の市場動向を詳しく解説

DDR4高騰とNAND市況、レガシーNAND動向 半導体情報

 DDR4高騰の背景となる供給減やSamsungのEOL方針、NAND市況の上昇要因である契約価格上昇期待と需要の弱さを整理し、レガシーNAND動向も解説。棚から牡丹餅となった台湾メモリ3社(Nanya, Winbond, Macronix)の2025年9月からの株価急伸を2025年の市場環境とともに総まとめする。

メモリスポット価格アップデート:DDR4スポット価格は Samsung が EOL 方針を維持する中で上昇

 TrendForce の最新のメモリスポット価格トレンドレポートによると、DRAM では DDR4 の価格上昇が DDR5 を上回るペースで続いている。Samsung は DDR4 の EOL(生産終了)計画を延期しない方針を明確にしており、2026 年には DDR4 の供給が急速に減少し、Gb あたりの価格が最も高くなる見込みだ。一方 NAND では、2026 年第1四半期の契約価格上昇への期待を背景にスポット価格が上昇しているものの、取引は依然として限定的である。

Source:[Insights] Memory Spot Price Update: DDR4 Spot Prices Climb as Samsung Holds EOL Line

DRAM スポット価格

 年末に入り、工場の棚卸しや一部の利益確定により購買モメンタムはやや弱まっている。しかし、これは現在の上昇トレンドを変えるものではない。DDR4 の価格上昇は DDR5 よりも依然として大きく、Samsung が EOL 計画を延期しないことで、2026 年には DDR4 の供給が急速に減少し、Gb 単価は最も高い水準に達すると見込まれる。

 主流チップ(DDR4 1Gx8 3200MT/s)の平均スポット価格は以下の通り。

  • 12 月 24 日:22.235 米ドル
  • 12 月 30 日:23.746 米ドル(+6.80%)
DRAM報價1231-Trendforce Report

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NAND フラッシュ スポット価格

 NAND フラッシュのスポット価格は、2026 年第1四半期の契約価格上昇期待を背景に上昇している。しかし、以下の要因が重なり、取引は鈍い(Trendforceによる)。

  • 現在のスポット価格が相対的に高い
  • 消費者需要が弱い
  • 旧正月前でファブが休暇に入る時期
  • トレーダーが強気で価格を下げない

512Gb TLC ウェハのスポット価格は今週 13.35% 上昇し、13.055 米ドルに達した。

NAND報價1231-Trendforce Report

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主流市況とは別に重要性が増すレガシーNAND市場

 TrendForce のレポートは主に大容量帯(512Gb クラス)を扱っているが、実際の市場には 1Gb〜64Gb のレガシーNAND という別のレイヤーが存在する。この領域は現在でも多くの分野で欠かせない役割を果たしている。

 FA・医療・計測器といった産業機器、ECU や IVI のブート領域を担う車載システム、ルーターや基地局などのネットワーク機器、ファームウェアを格納する IoT デバイス、さらには民生向けの低容量ストレージなど、幅広い用途で利用され続けている。

 これらの分野では、大容量化よりも信頼性や継続性が優先される。特に、書き換え耐久性、長期供給、温度特性、レイテンシや書き込み特性の安定性、既存ファームウェアとの互換性といった要素が重視されるため、最新の大容量 3D NAND では代替が難しいケースが多い。

SLC / MLC の需給構造

項目SLC(Single-Level Cell)MLC(Multi-Level Cell)
セル構造1セル1bit1セル2bit
特徴最高レベルの書き換え耐久性SLCより安価、TLCより高信頼
主用途産業・車載、FA、医療、通信機器産業用途の中間層、組込みストレージ
需要動向緩やかに減少だが一定の需要が残る横ばい〜微減
供給動向供給者が少なく価格に直結供給縮小傾向で変動に敏感
代替可能性低い(pseudo-SLC では代替困難)一部用途でTLCに置換可能だが制約あり
市場リスク供給ショックが起きやすい供給縮小による価格変動リスク

レガシーNAND市場を支える Macronix の存在

 レガシーNAND市場の安定性は、Macronix(旺宏)の戦略に大きく依存している。Macronix は複数世代の成熟プロセスを維持し、用途に応じた最適な NAND を提供できる点で他社にない強みを持つ。

 Macronix が現在維持しているプロセスノードは 19nm と 36nm であり、19nm では MLC と高信頼性SLC、36nm では高信頼性SLC を提供している。これにより、産業・車載・組込み向けの要求に対して、耐久性・信頼性を重視した構成を柔軟に提案できる。

 SLC だけでなく MLC や 3D NAND 技術も保有しており、用途に応じた構成提案や組込み用途向けの最適化にも対応できる。

一方で、Samsung、Micron、SK hynix、Kioxia などの大手 NAND メーカーは 128Gb 以上の大容量帯を主戦場としており、1Gb〜64Gb の小容量帯はほぼ扱わない。Macronix はこのギャップを埋める形で、低容量帯・長期供給・特殊要件への対応を継続しており、「大手が供給しないが、確実に需要が存在するゾーン」を支える存在となっている。

棚から牡丹餅の台湾メモリ3社の2025年株価推移

 2025年は、台湾のメモリ関連3社(WinbondMacronixNanya)がそろって大幅な株価上昇を記録した年となった。AI サーバー投資の拡大、DDR4 市況の急回復、組込みメモリ需要の増加といった複数の追い風が重なり、いずれの企業も「想定外の恩恵」を受ける形で株価が跳ね上がった。

 Winbond は NOR・カスタムメモリ需要の急増で株価が4倍超、Macronix はレガシーNAND・NORの需要回復で堅調に上昇、Nanya は DRAM 市況の急反転により6倍近い上昇を記録し、台湾メモリ株の中で最も大きな伸びを示した。

企業ティッカー年末株価年初比上昇率主因
Winbond(華邦電子)2344.TW76.80 TWD+403.61%NOR・CMS1需要、AI関連
Macronix(旺宏)2337.TW38.15 TWD+89.80%レガシーNAND・NOR回復
Nanya Technology(南亞科技)2408.TW188.50 TWD+544.44%DRAM市況回復、AI需要

まとめ

 DDR4 は Samsung の EOL 方針維持により、2026 年にかけて供給が急速に減少し、Gb あたりの価格が最も高くなる見込みである。一方 NAND では、2026 年第1四半期の契約価格上昇期待を背景にスポット価格が上昇しているものの、取引は限定的な状況が続いている。

 こうした主流メモリ市況とは別に、1Gb〜64Gb のレガシーNAND市場は依然として重要性を保ち、Macronix のようなプレーヤーがその安定性を支えている。さらに2025年は、台湾メモリ3社が AI・車載・組込み需要の波に乗り、株価面でも大きな存在感を示した。2026 年以降のメモリ戦略では、市況・供給・企業動向の三点を総合的に捉える視点が求められる。


  1. CMS(Customized Memory Solution):Winbondが提供する 顧客専用メモリ開発・最適化サービス。ニッチな容量・速度・電力・耐久性などをカスタム設計する。 ↩︎

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