TrendForceの最新調査によると、2025年第2四半期のNAND型フラッシュメモリ市場は供給調整と政策支援により22%成長。SKグループはSolidigmのSSD出荷増とSK hynixの321層NAND量産でシェア21%に急伸。サムスン、Kioxia、Micron、SanDiskの動向も含め、今後の市場展望を詳しく解説。
参考資料:Trendforce
NAND型フラッシュメモリ市場、2025年Q2に急成長
TrendForceが最新レポートによると、SKグループが市場シェア史上初めて21%に到達した。2025年第2四半期、NAND型フラッシュメモリ市場は前年比で大きく成長を遂げた。平均販売価格(ASP)がわずかに下落したにもかかわらず、供給業者による減産と中国・米国の政策支援が需要を押し上げ、業界全体の売上高は前期比22%増の146.7億ドルに達した。

中国・米国の政策が需要を後押し
中国の補助金制度や米国の関税対策による在庫積み増しが、短期的な需要を刺激。供給過剰の是正も進み、ビット出荷量は大幅に増加した。これにより、上位5社の売上は軒並み上昇し、業界全体にポジティブな影響を与えた。
サムスン、AIサーバー向けSSDで首位維持
サムスンは企業向けSSD、特にAIサーバー用途での需要増により、売上高は前期比23.8%増の52億ドルに。製品構成の見直しによる在庫圧縮も奏功し、市場シェアは32.9%に微増。首位の座を堅持した。
SKグループ、Solidigmの躍進で歴史的シェア獲得
SK hynixとSolidigmを擁するSKグループは、Solidigmの企業向けSSD出荷の急増とSK hynixの321層NAND量産が追い風となり、売上高は52.5%増の33.4億ドルに。市場シェアは16.6%から21.1%へと急伸し、過去最高を記録して2位に浮上した。
Kioxia・Micron・SanDiskの動向
KioxiaはAIサーバー需要とPC・スマホ向け在庫の正常化により、売上高は11.4%増の21.4億ドルで3位を維持。MicronはASP下落の影響を受けつつも、出荷量増加により3.7%増の21億ドルを記録。ただし市場シェアは13.3%に微減し、順位は4位に後退した。SanDiskは流通価格の回復と小売向けSSDの補充により、売上高は12.2%増の19億ドルとなったが、企業向けSSD分野では競合に後れを取っている。
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NANDフラッシュメモリの四半期ごとシェア


グラフはTrendforceの公表データをもとに筆者がまとめたものである。
まず気を付けてデータを読み解く必要があり、Trendforceが「NAND市場活況」と述べているが、2021年の史上最高売上には達していない。さらに注意をすると、2025年3月から在庫調整一巡とAIサーバー向けに支えられて価格が上昇したが、2025年7月に高止まりして、トレンドが反転した点である。
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キオクシア、シェア低下の背景
キオクシア(旧東芝メモリ)は売上高21.4億ドル(+11.4%)で3位を維持したものの、市場シェアは年々下落傾向にある。2024年には17.3%だったシェアが、2025年Q2には13%台にまで低下した。10年前まではシェアが20%を下回ることは無かった。この背景には以下の要因がある:
- 設備投資の抑制:競合が積極的に次世代NANDの量産に踏み切る中、キオクシアは慎重な投資姿勢を続けていた。
3D-NANDに関して言えば、BiCS4(96層)での停滞が大きな要因と言える。 - 企業向けSSDの弱さ:AIサーバーやデータセンター向けのSSD分野(eSSD)での存在感が薄く、成長市場への対応が遅れている。
Samsung、SK Hynix、MicronがeSSDに強く、キオクシアは存在感がない。cSSD(コンシューマー向けSSD)においてもブランド力は負けている。iPhone向けが頼みの綱といえる。 - 開発人材不足:技術を引っ張れるリーダーとなる人材不足が開発遅れに繋がっている。技師長、開発センター長の力量一つで開発は左右されるものである。
- 為替の影響:円安が進行する中、ドルベースでの売上換算に不利な状況が続いている。
- Western Digital(現時点ではSan Disk)との協業の限界:共同ファブの稼働率が回復しておらず、製造能力の面でも競合に後れを取っている。かつては、MBAの研究対象となるほど共同開発の成功例と謳われたが、キオクシア純粋培養的な閉鎖的開発方針と世界の荒波に揉まれながら成長してきた外資企業との考え方のギャップが、開発方針決定の遅れに影響してきた。
第9世代NAND(BiCS9)の量産開始やAI向け製品強化など、反転攻勢の兆しも見られる。国内唯一のメモリ専業メーカーとしての意地が試される局面だ。
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