米国の量子技術国家プロジェクトに台湾企業2社が参画|旺宏と廣達が量子時代の主導権を握る

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 米国政府は量子技術の国家戦略を強化するため、CHIPS法の研究開発枠から総額20億ドルを量子関連企業9社に出資する計画を発表した。IBMが約10億ドルを獲得し、Rigetti、D-Wave、Infleqtion なども1億ドル規模の支援を受ける中、台湾企業である旺宏(Macronix)廣達(Quanta Computer)が重要な役割を担うことが明確になった。米国政府は出資と同時に少数株式を取得し、量子技術の研究・製造基盤を国家レベルで強化する姿勢を示している。

廣達(Quanta):Rigettiとの協業で超導量子技術の中核へ

 廣達は2023年に米Rigetti Computingへ出資し、約1%の株式を保有している。2030年までに双方が1億ドル超を投資する協業計画を進めており、超導量子ビット技術の共同開発を本格化させている。今回、米国政府がRigettiへ1億ドルを出資したことで、廣達は事実上、米国の量子技術国家プロジェクトの正式パートナーとなった。

 廣達が超導方式を重視する理由は、離子阱(イオントラップ)や中性原子方式と比較して、超導量子ビットが成熟度とスケーラビリティで優位とされるためである。董事長の林百里は、量子時代の到来がクラウドやIoTデバイスのデータ量を爆発的に増加させ、廣達のサーバー事業に大きな追い風をもたらすと見ている。

旺宏(Macronix):IBMと10年以上続くPCM協業が量子時代に再評価

 旺宏はIBMと10年以上にわたり相変化メモリ(PCM)を共同開発してきた。PCMは高速・超低消費電力・アナログAIチップとの親和性などの特徴を持ち、次世代メモリの有力候補として注目されている。IBMが今回の量子技術国家プロジェクトで最大の10億ドルを獲得したことで、旺宏が長年取り組んできたPCM技術が、量子計算のメモリ課題を解決する鍵として再び脚光を浴びている。

 さらに旺宏とIBMは2023年末から企業向けSSDの共同開発も開始しており、量子計算時代の大容量・高耐久ストレージ需要に向けた布石を打っている。旺宏の吳敏求董事長は「量子コンピュータで最も進んでいるのはIBM」と語り、IBMの量子計画の中で旺宏が担える領域はさらに広がると見ている。

US Chip Quantum
(出典)經濟日報 美量子國家隊台鏈搭上線 旺宏、廣達各擁合作優勢

CHIPS法による量子投資の全体像

 今回の出資はCHIPS法の研究開発枠を活用したもので、対象企業は以下の9社である。

企業名技術方式・役割特徴
IBM超導量子ビット、量子ファウンドリ最大10億ドル獲得、米国量子の中心
GlobalFoundries量子チップ製造米国製造基盤の強化
Rigetti超導量子ビット廣達が出資、台湾との連携が深い
D-Wave量子アニーリング商用量子で実績豊富
Infleqtion中性原子研究開発力が高い
Atom Computing中性原子スケール性に強み
Diraqシリコン量子ビット新興勢力、技術革新が速い
PsiQuantum光量子(フォトニック)大規模化の有力候補
Quantinuumハード+ソフト統合世界最大級の量子企業

 IBMとGlobalFoundriesは量子チップ製造基盤の構築を担い、その他7社は量子計算技術の開発企業として位置づけられる。米国政府が少数株式を取得する形で量子企業に直接出資するのは異例であり、国家安全保障と技術覇権を量子領域で確保する強い意思が示された。

台湾企業が得る戦略的メリット

今回の量子技術国家プロジェクトへの参画により、旺宏廣達は以下の優位性を獲得する。

  • 米国量子サプライチェーンへの正式参画
  • 量子×AI時代のメモリ・サーバー需要を先取り
  • CHIPS法の恩恵を間接的に享受

 旺宏はPCMとストレージ、廣達は量子サーバーとシステム統合という形で、米国の量子技術国家プロジェクトの中核に組み込まれた。

まとめ:量子技術国家プロジェクトは台湾企業にとって新たな成長エンジン

 AIサーバーで世界的な存在感を示した台湾企業が、次の巨大波である量子計算においても重要なポジションを確保しようとしている。量子計算の本格商用化は2030年前後と見られるが、今回の米国の大型投資は、台湾企業にとって長期的な成長シナリオを裏付ける強力な材料となる。

参考記事

◆IEK產業情報網 美量子國家隊 台鏈搭上線
◆ITmedia NEWS 米政府、IBMなど量子技術企業9社に総額約20億ドルの投資へ
◆經濟日報(聯合報系) 美量子國家隊台鏈搭上線 旺宏、廣達各擁合作優勢

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