2026年7月に発生した熊本地震では、多くの尊い命が失われ、被災地では今なお厳しい状況が続いています。そのような中、台湾では発災直後から頼清徳総統をはじめとする政府要人、大手コンビニチェーン、企業、地方自治体、民間団体が相次いで支援を表明し、「日本の友人と共にある」という思いのもと、官民一体となった迅速な支援の輪が広がりました。
本記事では、台湾から寄せられた支援の内容を時系列で整理するとともに、その背景にある日台の深い絆を振り返ります。そして、日本人として台湾の皆さまへ心からの「ありがとう」を伝えたいと思います。
熊本地震の被害概要と広がる影響
2026年7月28日午後に発生した熊本地震は、マグニチュード7.1、最大震度7を観測する規模となった。台湾メディアは、地震発生後、熊本市内の商業施設AEONで爆発・崩落が起き、複数人が下敷きになった可能性を伝えたほか、橋梁の損壊や広範囲での断水・停電が発生していることをいち早く報道した。発生から日を追うごとに犠牲者数は増え、13人の死亡と近1万人規模の避難者が確認されており、被災地では今後40度に達する高温が予想されるなど、被災者の生活環境は厳しさを増している。
このような状況を受け、台湾では発災翌日から支援表明が相次いだ。特殊捜索救助隊が出動準備を整え、日本からの正式要請があればすぐに出発できる体制を敷いたことに加え、民間企業や政府機関からの募金・寄付の動きが立て続けに発表されている。
台湾のコンビニ大手3社と決済プラットフォームが一斉に募金開始
地震発生の翌29日、台湾を代表するコンビニチェーン各社が相次いで募金受付を発表した。
セブン-イレブン・ファミリーマート・ハイライフが同時始動
台湾のセブン-イレブン(統一超商)、ファミリーマート(全家便利商店)、ハイライフ(萊爾富)の大手コンビニ3社は、いずれも民間団体「キリスト教芥菜種会」と連携し、「日本熊本7.1強震救援」プロジェクトとして募金の受付を開始した。中央社の報道によれば、セブン-イレブンは公益募金プラットフォーム「把愛找回來」を通じてOPENPOINTアプリや店頭端末ibonから、ファミリーマートは会員アプリ「我的公益」やFamiPortから、それぞれ8月31日まで寄付を受け付けている。約1800店舗を展開するハイライフも、全店のLife-ET端末から募金できる体制を整えた。
キリスト教芥菜種会はこれとは別に、団体として1万米ドル(約160万円)の緊急支援金の拠出も決定している。長年交流のある日本のNPO法人AAR Japan(難民を助ける会)とも連絡を取り合い、被災地の緊急救援と復興支援に充てるとしている。

台湾最大手スーパー系「全支付」もポイント寄付に対応
コンビニだけでなく、台湾最大手スーパーチェーン全聯(PXマート)系の電子決済サービス「全支付(PX Pay Plus)」「PX Pay」も、募金専用ページを開設した。中央社によれば、利用者はアプリ上のポイントを寄付に充当できるほか、提携クレジットカードのポイントを100%充当することも可能で、参加のハードルを下げる工夫がなされている。
中華民国赤十字会も募金と支援準備を開始
台湾の民間支援団体としては、中華民国赤十字会も同日にインターネット上で募金の受付を始めた。同会はすでに救援物資と支援人材の準備を終えており、日本赤十字社からの要請があり次第、支援活動に入れる体制だとしている。台湾各地の企業・団体が示す「準備はできている」という姿勢は、多くの日本人に安心感を与えるものとなった。
頼清徳総統をはじめ政府要人が個人でも寄付
台湾からの支援は民間だけにとどまらない。政府トップ自らが個人としての寄付を表明している点も、今回の特徴といえる。
総統・副総統・行政院長がそれぞれ20万台湾元を寄付
台湾総統府は7月30日、頼清徳総統と蕭美琴副総統、卓栄泰行政院長(首相に相当)が、それぞれ個人として20万台湾元(約100万円)を熊本地震の被災地支援に寄付すると発表した。総統府の郭雅慧報道官は、台湾と日本は長年にわたり互いに助け合い、苦難を共にしてきた間柄であるとしたうえで、負傷者の一日も早い回復と、熊本が通常の生活を取り戻せることへの願いを述べている。
外交部が2500万円の拠出と募金専用口座開設を発表
7月31日には、外交部(外務省に相当)が500万台湾元(約2500万円)の寄付を発表した。フォーカス台湾によると、この寄付とあわせて外交部から募金業務を委託された財団法人「国際合作発展基金会(TaiwanICDF)」が銀行に募金専用口座を開設し、8月1日から1カ月間、台湾国内からの寄付を受け付けるとしている。林佳竜外交部長(外相)は、台湾は一貫して日本の友人と共にあり、必要であれば喜んで支援の手を差し伸べ、被災者支援と復興に共に取り組んでいく考えを強調した。集まった寄付金は日本側を通じて被災地に届けられ、復旧・復興作業に役立てられる予定だ。
頼総統のSNS投稿に見る「困難を共にする」というメッセージ
頼清徳総統は自身のSNSアカウントでも、熊本地震の被災者へのお見舞いのメッセージを投稿し、必要な支援があればいつでも協力する用意があるという姿勢を明確に示した。国のトップが発災直後にいち早く発信したこのメッセージは、台湾国内の支援の動きをさらに後押しする役割を果たしたといえる。
官民から広がる支援の輪 ― 高速鉄道や地方自治体も
政府と大手企業以外からも、支援の動きは途切れることなく広がっている。日本の新幹線システムを海外で初めて導入した台湾高速鉄道は、日本から購入した新型車両の出荷関連行事の場で、復興支援として2000万円を拠出すると発表した。台中市も市として10万米ドル(約1630万円)規模の支援を表明しているほか、台北駐日経済文化代表処(駐日大使に相当する代表機関)からも250万円の寄付が寄せられている。国民党の鄭麗文主席も、日本台湾交流協会台北事務所を通じてお見舞いのメッセージと支援表明の書簡を伝達し、今後の防災・災害救助分野での協力強化に意欲を示すなど、与野党を超えた動きも見られる。
「困難を共にする」日台の絆
一つひとつの寄付額や募金プロジェクトの規模はさまざまだが、共通しているのは「台湾と日本は長年にわたり互いに助け合ってきた」という認識が、政府発表や企業の呼びかけの端々に一貫して表れている点だ。災害が起きるたびに国境を越えて支え合ってきた両地域の関係性が、今回の熊本地震でもあらためて可視化された形といえる。
台湾からの支援は、金額の大きさ以上に、そのスピードと広がりの速さに特徴がある。発災翌日にはコンビニと決済アプリでの募金が始まり、数日のうちに政府トップの個人寄付、外交部による公式な拠出、企業・地方自治体・政党からの表明が次々と重なった。これは一過性の善意ではなく、平時から積み重ねられてきた台湾と日本の交流の厚みがあってこそ、迅速に形になったものだろう。
おわりに ― 「ありがとう台湾」を伝えたい
熊本地震という厳しい状況の中、台湾から寄せられた支援と励ましのメッセージは、多くの被災者や日本の人々にとって大きな支えとなっている。コンビニでわずかなお釣りを募金箱に入れる人から、政府として大型の拠出を決めた要人まで、立場は違っても「日本の友人のために」という思いは共通していた。
被災地の一日も早い復旧・復興を願うとともに、台湾の皆さまが示してくれた迅速で温かい支援に、心からの感謝を伝えたい。謝謝台湾(シェーシェー台湾)。
参考記事
- 日本熊本地震災情擴大 台灣超商與支付平台啟動募款(中央社)
- 熊本地震/外交部、熊本地震の被災地支援に約2500万円寄付 募金専用口座も開設/台湾(フォーカス台湾)
- 頼総統と蕭副総統、被災地支援で各約100万円寄付 熊本地震/台湾(フォーカス台湾)
- 台湾のコンビニなど、寄付金の募集開始 熊本地震 約160万円寄付の民間団体も(フォーカス台湾)


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