2025年の台湾エンジニア年収ランキングで苗栗県が全国第2位に。台北市を超える高収入の背景には、半導体関連企業の集積、スマート製造技術の導入、地理的優位性、そしてESGやデジタル転換を推進する政策支援がある。苗栗の産業構造と人材競争の実態を解説し、地方都市の成長モデルとしての可能性も紹介。未来の台湾経済を占う事例だ。
【台湾ハイテク事情】苗栗県のエンジニア年収が全国第2位に!台北市を超えた理由とPowerchipの最新投資状況
台湾の地方都市「苗栗県」が、2025年のエンジニア年収ランキングで全国第2位にランクイン。首都・台北市を上回るという意外な結果に、ネット上では驚きと関心の声が広がっています。
Source:經濟日報 苗栗工程師年薪78萬元全台第2、高於北市 苗縣府回應了
この記事では、苗栗県の高年収の背景にある産業構造・企業動向・地理的優位性に加え、Powerchipによる銅鑼科学園区への最新投資状況も含めて詳しく解説します。
苗栗県のエンジニア年収は78万元超、全国第2位に
給与情報プラットフォーム「比薪水」が発表した2025年の統計によると、苗栗県のエンジニア平均年収は78万2435元。これは新竹市(81万3572元)に次ぐ全国第2位であり、台北市(72万6843元)を上回る水準です。
苗栗県政府はこの結果に対し、「産業の数ではなく、専門性の深さが高年収の要因」とコメントしています。
高年収の理由①:高技術密集型の産業構造
苗栗県には、以下のような高付加価値産業が集積しています:
- 電子部品製造
- 精密化学
- 金属加工
- スマート製造(AI・自動化)
主要工業区(竹南、頭份、銅鑼、後龍)には、群聯電子、京元電子、信邦電子、恆誼化工、聯嘉科技などの大手企業が拠点を構え、技術力の高い人材が集まっています。
高年収の理由②:半導体企業の進出と投資
特に注目すべきは、苗栗県に拠点を置く半導体関連企業の存在です:
| 企業名 | 主な事業内容 | 拠点 |
|---|---|---|
| Powerchip(力積電) | 12インチ晶圓工場建設・稼働。スマート製造・グリーン電力導入 | 銅鑼科学園区 |
| 微矽電子(Microsys) | 晶圓薄化・テスト・封装 | 竹南鎮 |
| 京元電子(King Yuan) | ICテスト・パッケージング | 頭份 |
| 群聯電子(Phison) | フラッシュメモリコントローラ設計 | 竹南 |
| 信邦電子(Sinbon) | 精密接続技術 | 苗栗市 |
これらの企業は、高い技術力と設備投資により、エンジニアの待遇向上に大きく貢献しています。
Powerchipの最新動向:銅鑼科学園区で工場稼働開始
2024年5月、Powerchipは苗栗県銅鑼科学園区にて12インチ晶圓工場の稼働を開始。総投資額は3000億元以上で、台湾最大級の半導体製造拠点の一つとなっています。
- 製造プロセス:55nm、40nm、28nm(将来的に2x nmも視野)
- 月産能力:5万枚の12インチ晶圓
- 雇用創出:2700人以上
- 特徴:スマート製造、ESG対応、国際顧客向け供給網強化

この工場は、苗栗県の技術職の雇用と給与水準を押し上げる重要な要素となっています。
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高年収の理由③:地理的優位性と人材競争
苗栗県は「桃竹苗科技走廊」の中間に位置し、新竹科学園区(竹科)や中部科学園区(中科)と人材を競合する立地です。
そのため、企業は優秀な技術者を確保するために給与やボーナスを積極的に引き上げており、新竹や台中から通勤・移住するエンジニアも増加しています。
高年収の理由④:政策支援と新職種の創出
苗栗県政府は以下のような政策を推進し、産業の高度化を図っています:
- 工業団地の再整備
- グリーン電力の導入
- デジタル転換(DX)
- ESG対応型産業へのシフト
これにより、「エネルギー管理士」や「スマート製造エンジニア」などの高スキル職種が新設され、全国平均を上回る給与水準が実現しています。
苗栗県長のコメント:「高給は“量”でなく“質”の結果」
苗栗県長・鍾東錦氏は「苗栗の高い給与水準は、産業の数ではなく専門性の深さによるもの」と強調。今後もハイテク、グリーンエネルギー、スマート製造を軸に企業誘致を進め、高収入・高付加価値・住みやすい産業都市を目指す方針です。


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