台湾半導体の最新動向2026年5月|TSMC 2nm量産加速とeMMC不足で急伸するMacronixをわかりやすく解説

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 TSMCが国内5拠点で2nmチップを同時量産し、2028年まで年率70%成長を見込んでいます。大手メモリ各社のHBMシフトがeMMCの深刻な品薄を引き起こす中、Macronixの売上が前年比382%増と急騰。CapEx500億ドルのTSMCとeMMC特需で急回復するMacronixを軸に台湾半導体の最新動向を詳しく解説します。

1. TSMC:2nm量産体制の構築と1nmへの布石

 TSMCは4月末にシリコンバレーで開催した年次テクノロジーシンポジウムで、2nmチップの生産能力が2028年まで年率70%の複合成長を達成する見通しを発表しました。上級副社長のCliff Hou氏が明らかにしたもので、先端プロセスへの強気な投資姿勢が改めて示されました。

国内5拠点での同時立ち上げ

 2nmの量産は2025年第4四半期に開始されており、今年は新竹(寶山)の2棟高雄の3棟計5つのFabで本格的な生産能力の積み上げが進んでいます。特に高雄工場は当初の計画を変更し、すべて2nm以下の最先端ノードに充てられることになりました。

 初年度の生産量は2023年に立ち上がった3nmの初年度実績を45%上回る見込みです。立ち上げ速度・規模ともに過去の世代を大きく超えており、量産技術の成熟度の高さを示しています。

1nmへのロードマップと「根留台湾」

 台湾政府が推進する「根留台湾(台湾に根を張る)」政策のもと、1nm世代(A10相当)の研究開発と初期量産を台湾国内に確保する方針が明確になっています。中部科学園区(台中)の拠点は将来的な1.4nm(A14)以降の生産基盤として位置づけられ、嘉義・屏東では先進封止工場(CoWoS/SoIC)の建設も進んでいます。

先進封止(アドバンスドパッケージング)の拡張も急ピッチです。CoWoSの生産能力は2022年〜来年にかけて年率80%超、SoICは同90%超の成長が見込まれています。AI向けチップレット実装の需要増が主な要因です。

海外拠点と設備投資

 米アリゾナ州の第1工場は今年の生産量が前年比80%増、熊本の第1工場は同130%増を予定しています。国内に先端ノードを集中させながら、海外での成熟ノード生産も並行して拡大する二正面戦略が鮮明です。

 2026年の設備投資(CapEx)は500億ドル規模に達する見通しで、その多くが2nm向けの装置導入と1nm世代を見据えた高NA EUV露光装置の確保に充てられます。

参照ソース

Taipei Times: TSMC expects 70% 2nm growth
Focus Taiwan: TSMC sees 70% annual growth in 2nm capacity through 2028
經濟日報: 台積電強攻2奈米及更先進製程 根留台灣開枝散葉

2. メモリ市場:eMMCの需給逼迫と次世代NANDの進展

 AIサーバー向けHBM(高帯域幅メモリ)への投資集中により、SamsungやSK Hynixといった大手が汎用NANDフラッシュ市場から事実上撤退しつつあります。その煽りを受けて、車載・産業機器向けのeMMCが深刻な品薄状態に陥っています。

Macronixに殺到する受注

 この空白を埋める形で急浮上したのがMacronix(旺宏電子)です。同社はMLC NANDを使ったeMMCの事実上の唯一のサプライヤーとなっており、2026年第1四半期のNAND部門売上高は前年同期比382%増という異例の伸びを記録しました。eMMC市場の規模は10〜20億ドルと試算されており、Macronixへの需要集中は当面続く見通しです。

吳敏求(Miin Wu)会長は決算説明会で「eMMCとNANDの需給ギャップは非常に大きい」と述べ、今後も価格引き上げを継続すると表明。「今年は各四半期が前の四半期を上回ると確信している」とも語っており、業績に対して強気な姿勢を示しています。

業績の急改善

 2026年第1四半期の売上高は前年同期比71%増・前四半期比35%増の105億台湾ドルで、同社史上2番目の高水準となりました。粗利益率は前四半期の24.2%から40.8%へ大幅に改善し、約4年ぶりの高水準を記録。2023年第2四半期以来となる四半期黒字転換も果たしています。

 急激な需給逼迫を受け、すべての供給契約を四半期交渉から月次交渉ベースに切り替えました。市場の変動をリアルタイムで価格に反映させる体制に移行しています。

増産計画と技術トレンド

 Macronixは2026年に220億台湾ドル(約7億ドル)の設備投資を計上し、NAND生産能力の拡大を計画しています。ただし製造装置のリードタイムが長いため、追加キャパシティの本格稼働は来年上半期以降になる見通しです。

 より広い技術トレンドとしては、192層クラスの3D NANDが安定量産期に入る中、AI需要によるデータ保存量の急増を背景にQLC(クアッドレベルセル)の採用率が上昇しています。また次世代HBM(HBM4/4E)では、TC-NCFからMR-MUF(マスリフロー成形アンダーフィル)やハイブリッドボンディングへの移行が加速しており、台湾の素材・装置サプライチェーンにとっての追い風となっています。

参照ソース

TrendForce: Macronix NAND Sales Jump 382% YoY on Samsung’s MLC Exit
Taipei Times: Macronix eyes more price hikes in coming quarters
經濟日報: 旺宏:產能大致被填滿 看好2026年下半年
Taiwan News: Macronix investments in Taiwan look to ease memory shortage

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