Sandisk(サンディスク)による台湾DRAM大手・南亞科技(Nanya Technology)への約10億米ドルの戦略的出資が完了した。Sandiskは2026年3月25日に出資契約を発表し、約1億3,900万株を取得する計画を明らかにしていたが、その後、4月8日に9億7,200万米ドルを払い込み、4月28日に138,685,000株の取得が完了したことがSEC提出資料で確認された。
今回の取引では、南亞科技との複数年にわたるDRAM供給契約も締結されている。NAND型フラッシュメモリやSSDを主力とするSandiskがDRAMメーカーへ資本参加することで、AIサーバーやデータセンター向けSSDに必要となるDRAMの中長期的な調達基盤を確保する狙いがある。Sandisk自身も、DRAM供給制約がSSD事業に影響する可能性を開示している。
3月の「出資発表」から、実際の「株式取得完了」へと進んだ今回の取引は、AI向けメモリ需要の拡大を背景としたメモリサプライチェーンの変化を読み解くうえでも注目される。
本記事では、出資完了までの経緯、取得株式数と投資額、3年間のロックアップ、DRAM供給契約、そしてSandiskと南亞科技それぞれにとっての意味を整理する。
この記事で分かること
- Sandiskによる南亞科技への約10億米ドル出資が完了した経緯
- Sandiskが取得した南亞科技株式の規模
- 3年間のロックアップ条件
- 南亞科技との複数年にわたるDRAM供給契約
- Cisco、キオクシア、Solidigmを含む約25億米ドル規模の出資
- SandiskがDRAMメーカーへ出資する背景
- 南亞科技の先端DRAM投資と5A新工場計画
Sandiskの約10億米ドル出資が完了
Sandiskは2026年3月25日、子会社のSandisk Technologies, Inc.を通じて、台湾DRAM大手・南亞科技(Nanya Technology)の第三者割当増資(プライベート・プレースメント)に参加すると発表した。
当初の契約では、Sandiskが南亞科技の普通株式約1億3,900万株を取得し、約10億米ドルを投じる計画が示されていた。取引完了後の持株比率は、完全希薄化ベースで約3.9%となる予定だった。
その後、出資手続きが進められ、Sandiskによる南亞科技株式の取得が完了した。これにより、3月に発表された約10億米ドル規模の戦略的出資は、契約締結から実際の資本参加へと移行した。
取得価格には、南亞科技の直近30日間の平均株価に対して15%のディスカウントが適用されており、台湾の証券取引法(Securities and Exchange Act)第43条の6および関連規則に基づいて設定された。
今回の出資は経営権の取得を目的としたものではなく、Sandiskが南亞科技の少数株主として資本参加し、複数年にわたるDRAM供給契約と合わせて、長期的なDRAM調達基盤を構築することが特徴となっている。
南亞科技の私募増資には4社が参加
今回の南亞科技による私募増資には、Sandiskだけでなく、Cisco、キオクシア(Kioxia)、Solidigmも参加している。
4社による出資総額は約25億米ドルに達する。
出資額の内訳は以下の通りだ。
| 企業 | 出資額 |
|---|---|
| Sandisk | 約10億米ドル |
| Cisco | 約5億米ドル |
| キオクシア(Kioxia) | 約5億米ドル |
| Solidigm | 約5億米ドル |
| 合計 | 約25億米ドル |
Sandiskは約10億米ドルを出資しており、4社の中で最大の出資額となる。
一方、Cisco、キオクシア、Solidigmはそれぞれ約5億米ドルを出資している。
南亞科技は今回調達した資金を、AI需要の拡大に対応するための先端DRAM製造設備や工場建設などに活用する方針を示している。
Sandiskの南亞科技への投資概要
約1億3,900万株を取得
Sandiskは、台湾DRAM大手・南亞科技(Nanya Technology)の私募増資に参加し、普通株式約1億3,900万株を取得した。
出資額は約10億米ドルで、取引完了後の持株比率は完全希薄化ベースで約3.9%となる。
今回の出資は経営権の取得を目的としたものではなく、南亞科技との長期的なDRAM供給関係を構築するための少数株主としての資本参加と位置づけられる。
2026年3月25日の発表時点では株式取得は計画段階だったが、その後、出資手続きと株式取得が進められ、実際の資本参加が完了した。
また、取得価格には南亞科技の直近30日間の平均株価に対して15%のディスカウントが適用されている。
3年間のロックアップ
Sandiskが取得した南亞科技株式には、株式引渡し後3年間の法定ロックアップ(譲渡制限)が設定されている。
この期間中、Sandiskは台湾法で認められた限定的な例外を除き、取得した株式の譲渡・売却が制限される。
3年間の保有制限が設定されていることからも、今回の出資は短期的な株式投資ではなく、南亞科技との中長期的な関係を前提とした資本参加であることが分かる。
南亞科技との複数年DRAM供給契約
Sandiskは南亞科技への出資と同時に、複数年にわたるDRAM供給契約も締結した。
この契約に基づき、南亞科技はSandiskに対してDRAM製品を継続的に供給する。
SandiskはNAND型フラッシュメモリとSSDを主力とする一方、自社でDRAMを生産する設備を持たない。
そのため、AIサーバーやデータセンター向け需要の拡大によってDRAM調達の重要性が高まる中、外部のDRAMメーカーから安定的に調達できる体制の構築が重要になっている。
今回、南亞科技への資本参加と複数年の供給契約を組み合わせることで、SandiskはDRAMの調達関係を資本面と供給面の両方から強化する形となった。
南亞科技への影響
南亞科技にとって、今回の私募増資による約25億米ドル規模の資金調達は、AI需要の拡大を背景としたDRAM生産能力の強化に向けた資金調達となる。
今回の私募増資には、Sandisk、Cisco、キオクシア、Solidigmの4社が参加しており、南亞科技は複数の企業から資金を調達した。
南亞科技は2026年8月、約2.3兆円規模を投じる新工場「5A新工場」計画を発表しており、1B・1C・1D・1E世代の先端10ナノメートル級DRAMプロセスやEUV露光技術の導入を進めている。
AIサーバーやデータセンター向けメモリ需要が拡大する中、今回の資金調達は、こうした先端DRAMの生産能力拡大に向けた設備投資を支える資金源の一つとなる。
また、Sandiskをはじめとする複数企業との長期的な供給関係が構築されることで、南亞科技にとっては生産能力の拡大と需要の取り込みを進める環境が整うことになる。
今後は、5A新工場の建設・設備投資がどのように進み、先端DRAMの生産能力がどの程度拡大するのかが焦点となる。
Sandiskへの影響
Sandiskにとって今回の出資完了は、DRAM調達体制を強化する取り組みが具体化したことを意味する。
AIサーバーやデータセンター向けの需要が拡大する中、SSDなどのストレージ製品でもDRAMを安定的に調達できる体制が重要になっている。
SandiskはDRAMを自社生産していないため、外部のDRAMメーカーとの安定した供給関係を構築することが、製品供給を維持するうえで重要となる。
今回、南亞科技への資本参加と複数年のDRAM供給契約を組み合わせたことで、Sandiskは南亞科技との長期的なDRAM調達関係を資本面からも支える形となった。
特にAIデータセンター向けSSDでは、大容量NANDだけでなくDRAMの調達も製品供給を左右する要素となるため、南亞科技との供給関係はSandiskのストレージ事業にとって重要な意味を持つ。
一方、約10億米ドルという投資額はSandiskにとっても大規模な資本配分となる。
今後は、この投資と供給契約によってDRAM調達の安定性がどの程度高まり、SSDやデータセンター向けストレージ事業にどのような効果が生じるのかが注目される。
AI時代のDRAM調達を巡る資本関係
今回の取引で注目されるのは、SandiskがDRAMメーカーである南亞科技に資本参加すると同時に、複数年のDRAM供給契約を結んだ点だ。
AIサーバーやデータセンターの普及によってメモリ需要が拡大する中、ストレージメーカーにとってもDRAMの安定調達は重要な経営課題となっている。
SandiskはNAND型フラッシュメモリとSSDを中心とする事業を展開しているため、DRAMについては外部メーカーからの調達が必要となる。
そこで、南亞科技への出資と供給契約を組み合わせることで、DRAMの調達基盤を確保するとともに、長期的なサプライチェーンの構築を進める形となった。
一方、南亞科技にとっては、Sandisk、Cisco、キオクシア、Solidigmの4社から資金を調達するとともに、これらの企業との供給関係を構築できる点が重要となる。
AI向け半導体需要の拡大によって、半導体メーカーと顧客企業の関係は、単純な「売る側」と「買う側」だけではなく、資本参加と長期供給契約を組み合わせた関係へと広がっている。
今回の南亞科技への約25億米ドル規模の出資は、AI時代のDRAM需要を背景に、メモリサプライチェーンにおける企業間関係が変化していることを示す動きの一つといえる。
まとめ
Sandiskによる南亞科技への約10億米ドルの出資は、2026年3月の発表から実際の株式取得へと進み、取引が完了した。約1億3,900万株を取得し、同時に複数年のDRAM供給契約も締結している。
南亞科技の私募増資には、SandiskのほかCisco、キオクシア、Solidigmも参加し、4社の出資総額は約25億米ドルに達した。南亞科技はこの資金を先端DRAMの生産能力拡大などに活用する。
今後は、南亞科技の5A新工場計画や先端DRAMの生産能力拡大、そしてSandiskなど出資企業へのDRAM供給がどのように進むのかが焦点となる。
参考記事
- Sandisk (Nasdaq: SNDK) invests $1.0 billion in Nanya and DRAM supply deal
- Three SSD makers buy into Nanya to secure DRAM supply
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