レーザーアニールが半導体製造の新たな主役に──SiC・400層NAND・HBMで採用拡大

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パワー半導体の主役として台頭するSiC(炭化ケイ素)、積層限界に挑む400層超えNANDフラッシュ、そしてAIを支えるHBM(高帯域幅メモリ)──。異なる三分野で、ひとつの製造技術が同時に注目を集めている。「レーザーアニール」だ。業界各社の動向と技術的背景を整理する。

SiCの高温活性化400層NANDのチャネル抵抗HBMのボイド除去──いずれも従来の炉アニールでは限界が見え始めており、レーザーアニールの特性が直接的な解決策となる。

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レーザーアニールとは

半導体製造では、イオン注入によって基板に不純物(ドーパント)を打ち込む工程で結晶格子に損傷が生じる。アニールはその損傷を熱で修復し、ドーパントを電気的に活性化させる工程だ。従来の炉アニールが基板全体を均一加熱するのに対し、

レーザーアニールはレーザー光を局所照射し、必要箇所だけを極めて短時間で処理する。周辺への熱ダメージを最小化しつつ高精度な処理が可能な点が特長で、この「局所・短時間・低熱負荷」という性質が複数の先端分野で求められるようになってきた。

SiCパワー半導体──Wolfspeed・Samsungが導入・評価へ

SiCはEV・再生可能エネルギー向けパワー半導体の主要材料として普及が加速している。ドーパント活性化に1,600℃超の高温が必要になるケースがあり、従来の炉アニールではウェーハ表面の損傷や機械的ストレスのリスクが高い。レーザーアニールによる局所加熱はこれを回避できるため、SiCとの相性が良い。

韓国メディアETNewsによれば、SiCウェーハ市場トップのWolfspeedが韓国の装置メーカーとレーザーアニール装置の発注を協議中で、少量導入後に展開を拡大する計画だという。SamsungもSiCファウンドリー事業の2028年量産開始に向けて採用を評価中と報じられている。業界全体で8インチ以上への大口径化が進むなか、均一処理への要求はさらに高まる見通しだ。

400層超えNAND──Poly-Siグレインサイズの改善が鍵

3D NANDは層数を増やすことで容量を拡大してきた。Samsungは400層超の第10世代V-NAND(V10)の開発を完了し、現在は平澤工場への量産移管を進めている。

高層化において課題となるのが、積層セルを縦に貫くチャネルホールの電気特性だ。チャネル層には多結晶シリコン(Poly-Si)が用いられるが、積層数が増えるほどチャネルの全長が伸び、チャネル抵抗が上昇して読み出し電流が低下する。この問題を根本から解決するには、Poly-Siを構成する結晶粒(グレイン)を大きくすることが有効だ。グレインサイズが大きいほど粒界(グレイン境界)が減り、電子の散乱が抑えられて電流が増大する。

レーザーアニールはチャネルホール内のPoly-Siを局所的に再結晶化し、グレインサイズを効果的に拡大できる技術として注目されている。構造全体を加熱することなく、チャネル層のみを狙い撃ちできる点が、深い積層構造には特に重要だ。

ETNewsによれば、複数のNANDメーカーが400層超デバイスの実現に向けてこの技術の採用を検討しているという。

HBM・ハイブリッドボンディング──SK hynixとDITの装置契約

Korea Credit Newsの報道によれば、SK hynixは韓国の装置メーカーDITとレーザーアニールシステムの供給契約(総額158億7,000万ウォン、約1,160万米ドル)を締結し、2026年10月まで継続する。次世代HBMで本格普及が見込まれるハイブリッドボンディングは、銅配線の直接接合時に内部ボイドが生じやすいという課題を抱えている。レーザーアニールはそのボイド除去と高精度スタッキングへの対応手段として期待されており、HBM向け需要の具体的な動きとして注目される。

先端ロジック・市場規模

ETNewsはさらに、チップメーカー各社が2nm以下の先端ロジック製造においても局所アニールの活用を探っていると報じた。プロセスマージンが極限まで縮小する先端ノードでは、従来の熱処理が構造に与えるダメージを抑える手段として優位性が際立つ。

市場規模についても成長が見込まれている。SiCレーザーアニール装置市場は2024年時点で約1億5,000万ドルと推計され、2030年代にかけてCAGR約8〜8.5%での拡大が予測されている。装置全体の市場でも2026年時点で約8億8,000万ドル規模とされ、2035年には約13億ドルへの拡大が見込まれている。

まとめ

SiC・NAND・HBMという異なる分野でレーザーアニールが同時に注目されている背景には、「必要な箇所だけを、最小限の熱で、正確に処理する」という共通の要求がある。

Wolfspeed・Samsung・SK hynixという大手各社の具体的な動きは、この技術が特定ニッチにとどまらず、次世代半導体製造の標準的な工程のひとつへと格上げされつつあることを示している。

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