JASMの現場では、長時間労働・休日出勤・過重労働・24時間対応が積み重なり、心身疲労とモチベーション低下が深刻化している。制度は形だけで機能せず、技術職に負荷が集中し、通勤負荷や管理職の働き方も歪みを拡大。さらに「金で解決する」という発想が組織の根本課題を覆い隠し、離職増加という結果として噴き出している。協力者の証言から、その構造的問題がどのように積み上がっていったのかを追った。
1. JASMとは何か──急成長の裏で起きている「離職」と「現場の疲弊」
Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社(JASM)は、世界最大の半導体ファウンドリである台湾TSMCの子会社として熊本県菊陽町に設立された。TSMCが過半数を出資し、ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー、そして2024年にはトヨタ自動車も参画し、日本の半導体復活の象徴として注目されている。
2024年には12/16nm FinFETおよび22/28nmプロセスの量産を開始したが、複数メディアは「稼働率が当初計画を下回り赤字」と報じている。さらに社内では日本人離職者の増加が深刻化している。
本記事では、協力者から得られた「JASMのワークライフバランス実態」を整理し、これから入社・転職を検討する人に向けて実態を共有する。
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2. JASMのワークライフバランス実態
協力者の証言を分類すると、以下の5つのテーマに集約される。
2-1. 表面上の制度と実際の運用の乖離
フレックスタイム、時差出勤、在宅勤務制度は存在するが、実際にはあまり使われていない。
「制度を使う雰囲気がない」「使っている人を見たことがない」という証言が複数寄せられている。
有休は拒否されにくいが、実際には“身代わり”が必要で心理的ハードルが高い。
2-2. 技術職に集中する過重労働
技術職は24時間365日対応が前提となっており、夜間コール・休日出勤・年末年始対応が常態化している。
休日出勤は月2〜3回が普通で、事務系との負荷差が極端である。
隣の業務内容がブラックボックス化しており、担当装置は自分で24時間対応するしかない。
2-3. 残業と通勤負荷の二重苦
残業は最低50〜60時間/月。
ノー残業デーは形骸化し、無視することが“誇り”とされる文化がある。
熊本市内からの通勤は往復4時間。
交通インフラが脆弱で、通勤時間帯は常に満員である。
2-4. 心身への影響と生活の崩壊
給与水準は高いが、長時間労働と休日出勤によりワークライフバランスは崩壊している。
休日でもコールが怖くて外出できず、家で寝て過ごす社員が多い。
「自分の時間がない」「気が休まらない」という声が多数寄せられている。
2-5. 管理職層の働き方と組織文化
管理職層は土日ミーティングが常態化している。
上層部の働き方が改善されないため、現場の労働環境も変わらない。
制度よりも“文化”が問題であり、制度が機能しない根本原因となっている。
3. 協力者が語った「生の声」──全証言を網羅
新卒・技術
24時間365日対応で、土日出勤、年末年始出勤が要求される。休日出勤は月2~3回は普通。フレックスタイム、時差出勤、在宅勤務制度があるが、実際に運用されない。活用できない雰囲気がある。有休は申請しやすいが、実質的には取得しづらい。
中途・技術
有休を取得しづらく、取得には身代わりが必要。
中途・技術
事務系は定時退社が可能だが、技術系は時間外コールが当たり前。隣の業務内容がブラックボックス化しており、自分の担当工程は自分で24時間対応するしかない。
中途・技術
残業時間は最低50時間/月。交通インフラが脆弱で、市内からの通勤は往復4時間。通勤時間帯は常に満員。
新卒・技術
残業時間は毎月60時間。ノー残業デーは形骸化し、無視することが誇りとされる。有休は取りやすい空気はあるものの、身代わりが必要。
新卒・技術
月給・ボーナスは高いが、定常的な休日出勤と長時間労働でワークライフバランスが崩壊。休日でもコールが怖くて外出できない。
新卒・技術
仕事中心の生活で自分の時間がない。休日出勤も常態化し、気が休まる瞬間がない。
中途・技術
管理層は土日でもミーティングに追われている。
4. JASMへの入社を検討している人へ
今回の調査から見える現実は以下の通りである。
1) フレックスタイム制度は存在するが運用されていない
2) 技術職に過重労働が集中している
3) 残業・通勤負荷が生活を圧迫している
4) 有休取得には身代わりが必要
5) 管理職の働き方が改善されず、改革が進まない
もちろん、すべての部署が同じ状況とは限らない。
しかし、急拡大する台湾ファウンドリの日本法人が抱える構造的課題として、事前に理解しておくべき内容である。
5. 次回以降予告:組織体制、給与制度の実態
本記事はシリーズ第2弾として、ワークライフバランス実態に焦点を当てた。
次回以降は以下のテーマを深掘りする。
- 組織体制と台湾本社との関係(第3弾)
- 給与制度と評価の仕組み(第4弾)
JASMへの入社を検討する人にとって、判断材料となる情報を引き続き提供していく。


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