SamsungとSK hynixがDRAM供給を3〜5年の長期契約に移行し、価格はピーク圏に到達した可能性が高まっています。一方で中国ではDDR5が最大30%下落し、CXMTのギガファブ量産が本格的な値下がりの起点となる見方も浮上。対照的にNANDは2027年まで上昇が続く予測で、YMTC新FABやCXMT参入が勢力図を大きく変える可能性があります。
DRAM価格はピーク到達か
──Samsung・SK hynixが長期契約へ移行、NANDは依然として上昇基調
メモリ市場で、DRAMとNANDの価格トレンドが大きく分岐し始めています。SamsungとSK hynixはビッグテック向けDRAM供給を3〜5年の長期契約に限定する方針を決定。これは、2025年後半から続いたDRAM価格高騰がすでにピーク圏に達した可能性を示す重要なシグナルです。一方で、NANDフラッシュは2027年まで上昇が続く見通しで、供給構造の変化が市場全体に影響を与え始めています。
DRAM供給の長期契約化が示す“価格の天井感”
SamsungとSK hynixは従来の1年契約を廃止し、今後は長期契約のみでDRAMを提供します。背景には以下の要因があります。
- 高騰した現在の価格水準を長期固定したい
- 追加の大幅値上げ余地が乏しい
- 需要の急変動を避け、計画的な生産に移行したい
Samsungは2026年1Qに前年比100%、2Qに前期比30%の値上げを実施しており、短期的な上昇余地はほぼ使い切った状態です。長期契約化は、DRAM価格が“天井”に近づいたことを示す動きと捉えられます。
さらに、CXMTの上海ギガファブが本格出荷を開始すれば、DRAMのスポット価格に下押し圧力がかかる可能性が高いとみられています。中国市場でのDDR5価格下落(最大30%)はまだスポット限定の動きですが、CXMTの量産立ち上がりは“本格的なプライスダウンのシグナル”となり得ます。
DDR5は中国で最大30%下落──ただし“本格的な値下がり”とはまだ言えない
TrendForceによると、中国の小売市場ではDDR5がピーク比25〜30%下落。米国・欧州でも下落が確認されています。しかし、
- 2025年7月比で依然4倍の価格水準
- メーカー契約価格は完全に安定
- 2026年1Qの契約価格は+55〜60%の上昇予測
といった状況から、今回の下落は“本格的なトレンド転換”ではなく、消費者主導の短期的調整にとどまっている可能性はあります。
ただし、CXMTのギガファブ出荷が始まるタイミングは、スポット市場の下落が契約価格に波及する“転換点”となる可能性があるため、要注視。
一方でNANDは2027年まで上昇──供給制約と新規参入が複雑に作用
UBSはNAND価格のピークを2027年3Qと予測しています。理由は以下の通りです。
- Google「TurboQuant」がDRAM需要を圧縮した一方、NAND需要には影響なし
- 中国メーカーがDRAMに注力し、NAND供給が相対的に減少
- 2D NAND撤退で組込み・車載向け供給が細る
さらに、今後の供給構造には2つの大きな変化が控えています。
● YMTCの武漢新FABが出荷を開始
300層級NANDを中心に供給が増えれば、NAND価格に直接的な下押し圧力がかかる可能性が高い。また、YMTCのシェア拡大は既存メーカーの勢力図を大きく塗り替えるとみられています。
● CXMTのNAND参入
CXMTはDRAMメーカーとして知られていますが、2027年以降にNAND量産へ踏み切る計画が進行中。CXMTのNANDが市場に出始めれば、価格競争はさらに激化し、2027年3Qが“価格トレンドの転換点”となる可能性は否定できません。
DRAMとNANDは、今後数年でまったく異なる価格曲線を描くことになります。
需要鈍化の2大要因──TurboQuantとOpenAIの後退
今回の市場変化には2つの明確な要因があります。
① Google「TurboQuant」
KVキャッシュを最大6分の1に圧縮し、推論時のDRAM需要を大幅に削減。
ただしMorgan Stanleyは「学習工程には影響せず、効率化でむしろ総需要が増える可能性(ジェヴォンズのパラドクス)」と指摘。
② OpenAIのStargate計画縮小
Samsung・SK hynixから月90万枚ウェハー調達のLOIは、Oracleとの資金交渉決裂で実質的に後退。“AI特需”の過熱感が一気に冷えた格好です。
消費者への結論──「今すぐ必要なら買う、待てるなら待つ」
- DRAMはピーク圏で横ばいへ
- NANDは2027年まで上昇基調
- DDR5の下落はスポット限定で、契約価格は依然高い
- ただしCXMTのギガファブ出荷は“本格値下がりの起点”になり得る
これらを踏まえると、
● 今すぐPCを購入したい、組みたい
中国のDRAM値下がりが日本に波及するタイミングを狙うのが最適。
Amazonの価格変動や在庫処分セールは要チェック。
NAND価格上昇トレンドはまだ継続する見込みなので、現在のSSD価格で購入しておく。
● 半年〜1年待てる
2026年後半〜2027年にかけてDRAM価格は明確に下がる可能性が高い。
“待てるなら待つ”が最も合理的な判断。
ただし、SSD価格は最高値を付けている可能性は高い。
参考記事
・DDR5メモリが中国で最大30%値下がり、OpenAI計画後退とGoogle新技術が重なり、自作PCの買い時は近いのか
・DRAM価格はピーク到達か?「Samsung」と「SK hynix」がDRAM供給を長期契約に限定、NANDは依然として高騰が続く供給事情


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