UMC(聯電)は2026年の設備投資を20億ドルへ上方修正し、AI需要の拡大を背景に台南新工場の建設とシンガポールでのシリコンフォトニクス製造能力の強化を発表した。成熟プロセス需要の拡大を受け、第3四半期のウェハー出荷は前期比で高い一桁成長、工場稼働率は90%超を見込む。
本記事では、設備投資増額の背景、台南・シンガポールで進む拠点拡張の狙い、成熟プロセスやシリコンフォトニクスがAI時代の成長戦略で果たす役割と、半導体業界への影響を詳しく解説する。
聯電(UMC)決算説明会の要点:Q3ウェハー出荷は前期比高一桁成長へ
聯電(UMC)は7月29日に開催した2026年第2四半期決算説明会で、AI需要を背景に2026年下半期も堅調な成長が続くとの見通しを示した。第3四半期のウェハー出荷量は第2四半期比で高い一桁パーセンテージの成長を見込み、工場稼働率は90%超まで改善する見通しだ。売上総利益率(粗利率)についても30%台半ばを維持する見込みで、収益性を保ちながら需要拡大を取り込む姿勢を鮮明にした。
CEOの王石氏は、電源管理IC(PMIC)やセンサー、マイクロコントローラー(MCU)の需要拡大を背景に、8インチ製品群の回復が続いていると説明した。12インチ工場の稼働率も健全な水準を維持しており、米ドルベースの平均販売単価(ASP)は安定的に推移する見通しという。さらに、聯電(UMC)は市場シェア拡大を優先して価格を引き下げる方針は採らず、価格と利益率の規律を維持することで、中長期的な収益基盤を強化する考えを強調した。
AI需要はもはや「先端プロセス」だけの話ではない
今回の決算説明会で示された重要なポイントは、AI需要が最先端プロセスだけでなく、成熟プロセスや特殊プロセスにも広がっているという点だ。CEOの王石氏は、AI需要がGPUなどの演算チップにとどまらず、メモリ相互接続や電源管理IC(PMIC)、センサーなど周辺半導体の需要も押し上げていると説明した。ノートPCやスマートフォン市場は依然として回復途上にあるものの、AI関連需要が成熟プロセスの稼働を支える新たな成長ドライバーになりつつあるとの認識を示している。
聯電(UMC)が主力とする28nm~40nmの成熟ロジックプロセスは、最先端の2nm・3nmとは異なる市場を担う。しかし、AIサーバーやデータセンター向けでは、演算チップだけでなくPMICやセンサー、インターフェースICなど多様な周辺半導体が必要となるため、成熟プロセスの需要も着実に拡大している。AI市場の成長は、UMCが強みを持つ成熟プロセス事業にも新たな成長機会をもたらしていることが、今回の決算説明会から読み取れる。
2026年設備投資を20億ドルに上方修正、シンガポールと台南で拠点拡張
聯電(UMC)は同日、取締役会が段階的な拡張計画を承認したことも発表した。これに伴い、2026年の設備投資額は当初計画の15億ドルから20億ドルへと、5億ドル(約33.3%)上方修正された。

2026年第2四半期は過去最高益を更新
純利益:422.6億台湾ドル
前期比:+161%
前年同期比:+374%
EPS(1株当たり利益):3.39台湾ドル
2026年第3四半期の見通し
ウェハー出荷量:前期比で高い一桁成長
工場稼働率:90%超
売上総利益率(粗利率):30%台半ばを維持
設備投資を増額
2026年の設備投資を15億ドルから20億ドルへ上方修正
AI関連・エッジコンピューティング需要の拡大に対応
拠点拡張計画
シンガポールP4工場:クリーンルームを増設し、生産能力を拡大
台湾・台南科学園区:新工場(P7・P8拠点)の建設を開始し、中長期の生産能力を強化
新加坡(シンガポール)P4:シリコンフォトニクス製造能力の拡張
新加坡(シンガポール)第4期(P4)拠点では、クリーンルームの増設と製造設備の導入を進め、シリコンフォトニクスの製造能力を拡充する。建物本体の骨組みと外壁はすでに完成しており、今後はこの建物の内部にクリーンルームを整備し、製造設備を搬入していく段階に入る。ゼロから土地を造成して着工するのではなく、すでに完成した建物を活用するため、迅速かつ効率的に増産体制を整えられるという。
聯電(UMC)は新加坡(シンガポール)拠点について、台湾以外で最大の生産拠点としての役割を一段と強化し、地政学リスクを分散したサプライチェーンの地理的多様化とレジリエンス向上に寄与するとともに、シリコンフォトニクスなど先端技術の開発を推進する位置づけと説明している。
台南新工場:将来のP7・P8拠点として
台湾では、台南科学園区に新しいウェハー工場の建設を新たに開始し、まず建物の骨組みと外壁の工事から着手する。この新工場は将来のP7・P8拠点の基盤となる予定で、聯電(UMC)と顧客企業が長期的な製品ロードマップおよび技術開発を共同で進めるための基盤になるという。会長の洪嘉聰氏は、段階的な拡張戦略を採用する狙いについて、スピード・柔軟性・資本規律のバランスを取りながら顧客需要に応え続けると同時に、初期の減価償却負担を抑え、AI時代における競争優位を確保する方針だと説明した。
洪嘉聰氏はさらに、台南新工場が台湾における聯電(UMC)のグローバル製造・先端研究開発拠点としての地位を強化し、先進パッケージング分野の事業展開も拡大すると述べた。一方、新加坡(シンガポール)P4拠点の拡張は、台湾以外で最大の生産基地としての役割を一段と固めるものと位置づけられている。
シリコンフォトニクスプラットフォームが次の成長エンジンに
聯電(UMC)は今月、12インチのシリコンフォトニクスICプラットフォームにおいて、初となる顧客のテープアウト(設計データの製造引き渡し)を完了したことも明らかにした。このプラットフォームは2027年に一般顧客向けへ正式開放される予定で、複数の新規案件が商談中だという。同社はシリコンフォトニクスをAI時代の中長期的な成長エンジンの一つとして位置づけている。
半導体業界ではAIサーバーの高速化・低消費電力化を背景に、光信号と電気信号を統合する光電融合(Co-Packaged Optics、CPO)技術への関心が急速に高まっている。台積電(TSMC)が独自技術「COUPE」でこの分野に参入するなど、大手ファウンドリ各社がシリコンフォトニクス・CPO領域への投資を加速させている中、聯電(UMC)が新加坡(シンガポール)拠点を軸にシリコンフォトニクス製造能力を強化する動きは、AI関連の光半導体サプライチェーンにおける存在感を高める布石といえる。
まとめ:AI需要の広がりと拡張スピードが今後の焦点に
今回の決算説明会で聯電(UMC)が示した最大のメッセージは、AI需要の恩恵がGPUなどの演算チップだけでなく、電源管理IC(PMIC)やインターフェースIC、光半導体など幅広い周辺半導体へ波及し、成熟プロセスや特殊プロセスの需要を押し上げているという点だ。設備投資を20億ドルへ引き上げ、台南新工場の建設とシンガポールでのシリコンフォトニクス製造能力の拡充を同時に進めることで、UMCはAI時代を見据えた中長期の成長基盤を強化する姿勢を鮮明にした。
今後は台南新工場の建設進捗や2027年に予定されるシリコンフォトニクスプラットフォームの商用展開が、UMCの競争力と成長戦略を占う重要なポイントとなるだろう。


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