速報 2026年6月23日 半導体 / 先進封装
NVIDIA向けAI GPU・HPC需要の急拡大を受け、TSMC(台積電)グループが台湾・中部科学園区(中科)二林園区に先進パッケージング・テスト新工場の建設を検討していることが明らかになった。CoWoS(Chip-on-Wafer-on-Substrate)後段工程を担うASE Technology Holding(日月光投控)傘下のSPIL(Silicon Precision Industries Co., Ltd./矽品精密工業股份有限公司)も同園区に第5工場(P8)計画を提出しており、二林への累積投資は1,000億台湾元を突破する見通しだ。AI半導体サプライチェーンのボトルネックとなる先進封装・テスト能力の増強が、台湾で一気に加速している。
矽品(SPIL)累積投資
850億
台湾元(既存4工場)
第5工場後の総投資
1,000億+
台湾元(初の大台突破)
第5工場用地
11ha
P8新工場予定地
二林園区入居企業数
46社
累計投資1,167億台湾元
先進封装サプライチェーン:中科二林の位置づけ
TSMCグループが二林への封装・テスト新工場を計画
経済日報などの報道によると、TSMCグループ傘下の企業が中科二林サイエンスパークへの封装・テスト(封測)新工場への投資申請を近く提出する予定で、総投資額は数百億台湾元規模に達する見通しだ。中科管理局は現時点で正式な申請を受理していないとしながらも、「関連する投資計画の推進に全力で協力する」とコメントした。
TSMCは同報道に対するコメントを控えた。市場関係者は「二林エリアはTSMCの重要パートナーである矽品(SPIL)の本拠地であり、TSMCは現状、同エリアでは封装テスト企業との連携を中心に位置づけ、供給チェーンのボトルネック解消に取り組んでいる」と分析する。
TSMCはすでに中科台中園区の封装テスト拡張工事(AP5B棟)を積極的に進めており、2026年末までに建設と設備搬入を完了させる計画で、CoWoS-L技術の進化を支える。嘉義工場はグローバル最大の先進封装拠点として位置づけられ、2027年以降に複数フェーズが順次稼働する予定だ。
矽品(SPIL):二林に第5工場、総投資1,000億台湾元突破へ
矽品精密工業(SPIL:Silicon Precision Industries Co., Ltd.、矽品精密工業股份有限公司)は、中科管理局に対して二林園区P8新工場の用地賃貸プレゼンテーションを実施した。計画では約11ヘクタールの土地を活用する方針だ。矽品はすでに二林に4棟の工場を整備し、2棟が稼働中、累積投資額は850億台湾元にのぼる。
矽品は2024年10月にも、中科二林園区の土地使用権(賃借期間42年)を約4.19億台湾元で取得しており、業界内では当初からCoWoS先進封装の拡張が主目的との見方が強かった。日月光投控(ASE Technology Holding)傘下の日月光(ASE)と矽品(SPIL)は、CoWoS-Sの後段oS工程においてTSMCと緊密に連携しており、TSMCの外部委託(OSAT)受注拡大の直接的な受益者となっている。
二林以外でも矽品の拡張は加速している。精金(3049)・彩晶(6116)が南部科学園区(南科)の工場を日月光投控傘下の矽品精密に総額108億台湾元で売却すると発表しており、矽品は短期内に近320億台湾元を投じて南科でも3新工場を計画中だ。二林・南科の両拠点を軸に、矽品はAI・CoWoS・HPC需要を取り込む大規模拡産フェーズに入っている。
「先進封装は製造工程数と同数のテスト工程を必要とする。前工程の複雑化に比例してテスト負荷も増大するため、供給チェーン全体のボトルネックとなりやすいのがテスト工程だ。この封装テスト能力を重点強化することは、産業的な合理性がある。」
TSMCは2026年において先進封装能力の倍増規模の拡大を進めており、外部委託(OSAT)パートナーへの発注拡大とセットで、封装・テスト工程全体の処理能力の引き上げが急務となっている。矽品(SPIL)が二林に集積する複数工場は、このボトルネック緩和の核心を担う位置づけにある。
二林サイエンスパーク:先進封装の集積地へ
中科二林サイエンスパークは、貸出可能な面積163.79ヘクタールのうち79ヘクタール余りが未活用の状態にあり、現在46社が入居、累計投資額は1,167億台湾元に及ぶ。このうち封装テスト企業による投資だけで850億台湾元を占めており、TSMCグループの入居が実現すれば封装拠点としての存在感はさらに高まる。
経済日報は、台湾の主要な先進封装企業を北から南へつなぐ「ゴールデンコリドー(黄金廊道)」がすでに形成されつつあると報じており、二林はその重要拠点として位置づけられている。TSMCはトップレベルのウェーハ製造と前段先進封装に経営資源を集中させ、一部の後段テスト・標準化封装工程を矽品(SPIL)などの専業OSATパートナーに外部委託することで、サプライエコシステム全体の効率を高める戦略を採っている。
日月光(ASE)投控グループ:先進封装が収益ステージへ
日月光投控の株価は2026年6月22日に一時ストップ高となり674台湾元をつけ、700台湾元の大台を射程に捉えた。業界では、日月光が推進するLEAP(Leading Advanced Packaging)プラットフォームがいよいよ収益化段階に入ったとの評価が高まっており、CoWoS、2.5D/3D封装、SiP(システムインパッケージ)の需要拡大が直接的な追い風となっている。外資系機関は6月18日時点で京元電子・南茂・日月光投控などの封装テスト銘柄を相次いで買い増しており、資金の流入傾向が鮮明になっている。
なおTSMCはアメリカ市場での封装アライアンス拡大も加速させており、半導体封装大手アムコー(Amkor Technology)と10年間の協力協定を締結。米国内での一貫したウェーハ製造から封装までの供給チェーン構築を目指している。
まとめ
TSMCグループによる中科二林への封装テスト工場建設計画と、矽品(SPIL:Silicon Precision Industries Co., Ltd.、矽品精密工業股份有限公司)の第5工場投資(総額1,000億台湾元超)は、AI算力需要に牽引された台湾の先進封装サプライチェーンの急速な集積を象徴する動きだ。封装テスト能力の拡充がAI半導体供給の律速要因となる中、二林は台湾の先進封装「ゴールデンコリドー」における重要拠点として、その戦略的地位を一層強化しつつある。


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