AIサーバーの性能競争は、GPUだけでは決まらない。GPU同士はもちろん、サーバー間やラック間を高速かつ低消費電力で接続する光通信技術が、次世代AIインフラの競争力を左右する重要な要素となっている。台湾の主要光通信メーカー5社は2026年上半期に過去最高水準の売上を相次いで更新し、その背景には、NVIDIAが2026年後半に投入する次世代AIプラットフォーム「Vera Rubin」によるAIサーバー需要の急拡大がある。AIサーバー向けネットワークは800Gから1.6Tへの高速化が進み、その先には光電融合(CPO:Co-Packaged Optics)の本格普及も控える。
本記事では、台湾光通信メーカー各社の最新業績をもとに、NVIDIA Vera Rubinがもたらす1.6T光通信への進化、CPO市場の成長性、そして2028年以降の台湾光通信サプライチェーンの展望まで詳しく解説する。
NVIDIA Vera Rubinが変える光通信市場|AIサーバーは800Gから1.6T時代へ
GB300 NVL72で進む800Gから1.6Tへの高速化
台湾の光通信需要拡大を理解するうえで欠かせないのが、NVIDIAのAIサーバープラットフォームの世代交代である。現行のGB300プラットフォームはすでにNVL72構成での大規模導入が進んでおり、1つのAIサーバー筐体内部だけで72基のGPUを相互接続する必要がある。さらに外部では数千台規模のAIサーバー同士を接続する必要があるため、光通信の伝送規格は800Gから1.6Tへと段階的に引き上げられている。
NNVIDIA Vera Rubin投入でAIサーバーは1.6T光通信へ
2026年下半期に量産出荷が始まる見込みのVera Rubinプラットフォームも、まずはNVL72構成で市場投入される予定だ。ただし、Vera Rubin世代のGPUは前世代のGrace Blackwellに比べて演算速度が大幅に向上するとされており、その分だけデータ伝送のボトルネックを解消する必要性が高まる。これにより、1.6Tの光伝送速度が業界標準として定着していく流れが強まると見られている。GPU単体の性能が上がるほど、それを支える相互接続インフラの帯域幅要求も比例して高まるという構図であり、台湾の光通信サプライチェーンにとってはNVIDIAの世代交代そのものが直接的な需要創出要因となっている。
台湾光通信5社が過去最高業績|AIサーバー需要で売上拡大
経済日報によると、台湾の光通信メーカーである波若威(Browave、3163)、華星光(4979)、光聖(EZconn、6442)、光環(3234)、眾達-KY(4977)の6月連結売上高が出そろい、いずれも上半期累計で増収を確保した。なかでも華星光は6月の連結売上高が前月比27.7%増となり単月として過去最高を更新、上半期累計でも前年同期比15.2%増と同期間の過去最高を記録した。光聖も上半期累計売上高が前年同期比27.4%増となり、こちらも同期間の過去最高となっている。
これらの企業は高速光ファイバーキット、高速光トランシーバーモジュール、CWレーザーのエピタキシャル成長やダイ工程の受託製造といった製品ラインで光通信市場に参入しており、AIサーバー向け需要の拡大を追い風に業績を伸ばしてきた。法人(機関投資家)の間では、下半期の業績が上半期を上回るとの見方が強まっており、特に積極的な増産投資を進める華星光と光聖については、通期でさらなる過去最高水準への到達が期待されている。
CPO(光電融合)需要が2028年に本格拡大|AIデータセンターの次世代技術
CPO(光電融合)とは?AIサーバーで注目される理由
CPO(Co-Packaged Optics、光電融合)は、光トランシーバーとスイッチ用ASICなどの半導体チップを同一パッケージ内に統合する技術で、従来のプラガブル光モジュール方式に比べて伝送距離あたりの消費電力を抑えつつ、高密度な帯域幅を実現できる点が特徴だ。AIデータセンターの電力効率と伝送速度の両立が課題となるなか、CPOは次世代の相互接続技術として位置づけられている。

800G・1.6T時代の先を見据えるCPO|2028年に本格商用化へ
経済日報の報道では、光通信各社の今年の業績は好調な推移が続く見込みであるのに加え、その後の成長を支える柱として光電融合(CPO)需要が挙げられている。800Gから1.6Tへの規格移行が進む足元の需要はあくまで通過点であり、CPOの本格的な量産・商用化は2028年以降の業績成長の基盤になるとの見方が示された。従来の光トランシーバーモジュール事業で実績を積んできた台湾企業が、次のステップとしてCPO関連工程への参入を進めている構図が浮かび上がる。
台湾光通信サプライチェーンを解説|主要5社の強みと役割
台湾の光通信サプライチェーンは、上流のレーザーエピタキシャル・光学部品から、中流の光トランシーバーモジュール・シリコンフォトニクス実装、下流のネットワーク機器まで幅広い企業群で構成されている。今回好決算を発表した5社は、いずれもこのサプライチェーンの中核を担う存在だ。
- 波若威(Browave、3163):光波長分割多重(WDM)製品や光ファイバーアンプなど、帯域幅拡張に直結する光学部品を手がける。光ファイバーキットや配線ボックスといった製品ラインも持ち、CPO領域での大手顧客との協業も進めている。
- 華星光(4979):光通信の能動部品と受託製造サービスを長期的に展開。高速相互接続需要の拡大を追い風に、積極的な増産投資を進めている。
- 光聖(EZconn、6442):光通信関連部品や光ファイバーアレイ製品に強みを持ち、データセンター内部の高密度光配線需要の高まりを背景に事業を拡大している。
- 光環(3234):高速光通信関連製品を展開し、業界全体の規格引き上げの恩恵を受ける企業の一角。
- 眾達-KY(4977):高速光トランシーバーモジュールの研究開発・製造に注力し、クラウド・ネットワーク機器の高速化需要を取り込んでいる。
これらの企業に共通するのは、800G・1.6Tという足元の規格移行需要を収益基盤としながら、CPOという次世代技術への布石を同時に打っている点だ。
台湾光通信市場の将来性|NVIDIA Vera Rubin・CPOが成長を牽引
台湾光通信産業の将来性を評価するうえでは、以下の3点が重要な着眼点となる。
- NVIDIAの世代交代サイクルとの連動性:Grace BlackwellからVera Rubinへの移行、さらにその先のロードマップにおいて、GPU性能向上のたびに相互接続インフラへの要求水準が引き上げられる構造がある。台湾光通信各社の業績は、この技術サイクルと強く連動する。
- 800G・1.6T・CPOという段階的な需要の積み上げ:短期的には800Gから1.6Tへの規格移行、中長期的にはCPOの本格商用化という形で、需要創出のタイミングが時間軸上に分散している点は、業績の持続性という観点でプラス材料となりうる。
- サプライチェーン内でのポジショニングの違い:上流の光学部品・レーザーから中流のモジュール実装まで、各社が担う工程によって収益動向やCPOへの参入度合いが異なるため、個社ごとの技術ロードマップを見極める視点が求められる。
投資判断や事業戦略の検討にあたっては、各社の決算発表や技術ロードマップ、NVIDIAをはじめとするAIチップ大手の設備投資動向を継続的に追跡することが欠かせない。今後も、台湾半導体・光通信サプライチェーンの動向を継続して取り上げていく。
まとめ|NVIDIA Vera RubinとCPOが台湾光通信市場を飛躍させる
台湾の光通信各社は2026年上半期に好調な決算を発表し、NVIDIAのVera Rubinプラットフォーム投入に伴う800Gから1.6Tへの規格移行を追い風に、下半期以降も業績拡大が見込まれている。さらにその先には、光電融合(CPO)の本格商用化という2028年に向けた新たな成長エンジンが控えており、台湾光通信産業は短期・中期・長期の複数の需要ドライバーを同時に持つ稀有なポジションにある。NVIDIAの技術ロードマップと台湾サプライチェーンの動向は、今後も密接にリンクしながら推移していくとみられる。


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